生きづらさを感じたときに読みたい本『死ぬまで生きる日記』
わけもなくつらい気持ちになったり、気分が重たくなってしまうことがある人は、実は多いのではないでしょうか。
季節の変わり目や気圧の変化、体の状態や身の回りで起きたできごとなど、きっかけはさまざまかもしれません。それでもときおりドーンと落ち込んでしまうのはかなり辛いものです。
そんなふうに「生きづらいなぁ……」と感じたときに読んでみてほしいのが、土門蘭さんの『死ぬまで生きる日記』という本。
この本は、著者の土門さんがカウンセリングを受けて、感じたことや考えたことをまとめた記録となっています。
そこで今回はこの本の紹介とともに、生きづらさとの向き合い方や対処法について考えます。
『死ぬまで生きる日記』のあらすじ
著者の土門さんが抱えている悩み。それは、ほぼ毎日「死にたい」と思ってしまうこと。
日常生活はほとんど支障なく送れるし、「楽しい」や「嬉しい」、「おもしろい」といった感情もちゃんと味わうことができる。なのに、「死にたい」と思ってしまう。
その悩みと向き合うため、土門さんはオンラインカウンセリングを受ける決意をします。この本には、カウンセラーや周囲との対話を通して、自分自身と深く向き合った約2年間の記録が記されています。
自分の心の奥底に向き合う
土門さんは、カウンセラーの本田さんと話すなかで、自分の心の奥底に眠っていた気持ちにだんだんと気づいていきます。
なぜ、死にたい気持ちが出てきてしまうのか。その根っこには何があるのか。
土門さんはこれまでまったく意識してこなかった、ある気持ちを自覚するようになります。
自分の心の奥底に向き合うことは、かなりエネルギーがいる作業です。なので、普段何となく心の不調があっても、その原因をきちんと探るところまではなかなかたどり着かないという人が多いのではないかと思います。
何度も何度も「死にたい」という気持ちに苛まれながらも、自分をよく観察し、深く考え続ける土門さん。その姿にとても励まされます。
この本の終盤、土門さんは「死にたい」の代替語となる、ある言葉を見つけます。その言葉が何だったのかは本を読んで確認してみてほしいのですが、これがとても印象的でした。
生きづらさを感じたらやってみたいこと
この本には、土門さんが「死にたい」という気持ちに向き合う過程でやってみたいくつかの行動が記されています。それを参考に、生きづらさを感じたらやってみたいことをまとめてみました。
自己満足リストを作って実行する
他人が関与しない、自己満足の幸せ。いくつ思い浮かびますか?
これは他人が喜んでくれる・楽しそうにしてくれるなど自分以外の人が関わってくる幸せではなく、例えば「おいしい紅茶を飲む」とか「ふかふかの布団で眠る」といった、自分一人で完結する幸せのことです。
自分で自分を幸せにする手段をたくさん持っていることで、憂鬱な気分から逃れやすくなります。自己満足リストの項目を、できるだけたくさん作って実行してみましょう。
マザーリングを試す
マザーリングとは、母親が赤ちゃんと交わすコミュニケーションのことをいいます。『死ぬまで生きる日記』では、カウンセラーの本田さんが「感情に対して肯定も否定もせずに、ただ言語化して寄り添うこと」を勧める際に、マザーリングという言葉を使っています。
感情を否定して押し込めるのではなく、そのまま言葉にして受容する。そうすることで自分自身を受け入れることができ、安心感が生まれるといいます。
例えば「不安だ」という気持ちがわき上がってきたら、「そうか、不安なんだね」と自分に語りかけるようなイメージです。ネガティブな感情が浮かんできたときに試してみたい手法です。
思考のクセを捉え直してみる
何らかの出来事に対して、瞬間的に思い浮かぶ考えやイメージを「自動思考」といいます。それが偏ってしまうと、ネガティブな感情を抱きやすくなってしまうのです。例えば、同僚に挨拶をされたけど無視されたときに、「嫌われてるのかな?」と考えてしまうように。
この自動思考のクセを意識的に捉え直してみることで、気持ちが楽になることもあります。先ほどの例でいうと、「嫌われた」以外の原因として「気がつかなかっただけ」という理由も考えられます。そのように、思考のクセをちょっとずつ直してみるのもいいかもしれません。
カウンセリングを受けてみる
以上のことを試しても気分が晴れない、生きづらさが消えないというときには、一度カウンセリングを受けてみることをおすすめします。近くにカウンセリングを受けられる場所がないときには、この本にも登場するようなオンラインカウンセリングという方法もあります。カウンセリングを受けることは恥ずかしいことではないので、検討してみるのも一つの手です。
生きていくための勇気をくれる本
『死ぬまで生きる日記』は、つらい状況にある方、生きづらさを感じている方がいたら、ぜひ手に取ってみてほしい本です。「死にたい」という気持ちはなかなか周りにも相談ができないもの。だからこそ、本を読んでみてほしいです。きっと、「死ぬまで生きる」ための勇気をくれる、おまもりのような存在になってくれるはずです。