外貨預金をおすすめしない3つの理由と例外的に使えるケース
銀行が扱っている外貨預金という金融商品は原則としておすすめしない商品です。理由は3つあります。
- 為替手数料が高すぎる
- 金利が高いとはいえ、実はそこも中抜きが大きい
- 預金保険の対象外
これです。一部のネット銀行などではこうした問題はかなり抑えられているケースもありますが、世の中の大半の銀行(特に窓口で取引する銀行)においては多くがこの「おすすめしない理由」に合致してしまいます。
外貨預金をおすすめしない3つの理由
冒頭で紹介した3つのお勧めしない理由をより詳しく見ていきたいと思います。
外貨預金の為替手数料が高すぎる
為替手数料というのは円を米ドルやユーロなどに交換する際にかかる手数料のことです。銀行ではTTS(Telegraphic Transfer Selling rate:顧客が買うレート)、TTB(Telegraphic Transfer Buying rate:顧客が売るレート)という二つの為替レートが表示されています。
そしてその中間のレートを「仲値」と呼び、TTS、TTBと仲値の差が売買時に必要な為替手数料ということになります。この為替手数料は一般に米ドルの場合で以下のようになっています。
たとえば、以下は三菱UFJ銀行の為替手数料になります。()の金額はインターネットバンキングの場合です。手数料は片道(TTB-仲値)。
- 米ドル:1円(25銭)
- ユーロ:1円50銭(25銭)
- 英ポンド:4円(50銭)
- 豪ドル:2円(50銭)
- NZドル:2円(50銭)
- スイスフラン:90銭(50銭)
- 人民元:30銭(25銭)
- 南アフリカランド:1円50銭(25銭)
とこんな感じです。これが高いか安いかという判断ですが、単純な外貨の売買(トレード)であれば、FX(外国為替証拠金取引)の場合は米ドル/円のケースで手数料(スプレッド)は片道換算なら0.1銭程度が主流です。
オンライン取引を前提としても25銭と0.1銭であれば手数料の差は250倍にもなります。
いや、都銀だからじゃないの?というご意見もあるかもしれませんが、ネット銀行でもそう対して差はありません。為替手数料が安いとされる住信SBIネット銀行でも片道4銭でFXと比較すると40倍のコストです。
後述するように一部の例外的銀行を除き外貨預金は運用目的にしか利用できません。それであれば、あえてコストの高い外貨預金を選択する必然性は薄く、外貨トレードするならFXを使った方が圧倒的に有利です。
外貨預金は金利が高いとはいえ、実はそこも中抜きが大きい
外貨預金は金利が高いという意見もあると思います。
ただ、ここも実は中抜きが大きかったりします。都銀だとフェアじゃないと思われるかもしれませんので2021年10月26日時点のネットバンクの住信SBIネット銀行の外貨定期預金(米ドル)を見ていきます。
- 外貨普通預金:0.01%
- 1か月満期:0.04%
- 3か月満期:0.15%
- 6か月満期:0.18%
- 1年満期:0.20%
こうなっています。外貨「定期預金」は期間中売却できないという点がリスクです。無理矢理解約はできますが、その場合は金利は違約金利として外貨普通預金相当になります。
一方で同じFXの場合はどうでしょうか。FXの金利相当というのは「金利スワップ」という金利の交換になります。仮に米ドル/円を買付した場合、2021年10月26日には1日当たり9円のスワップ金利が生じました(くりっく365)
これは1万ドルあたり(当時日本円換算114万1900円)相当です。ここから考えると9円×365=3285円となり、金利換算だと0.29%になり、FXの方が有利です。
ちなみに、FXの場合は1日単位で計算されるのでいつでも売買が可能です。なので比較するならいつでも売却可能な「外貨普通預金」と比較するべきで金利差は29倍になります。
外貨預金は預金保険の対象外
また、このリスク分は過大評価する必要はあまりありませんが、外貨預金はいわゆる「預金保険」の対象外となります。これは万が一、預金をしている銀行が破綻した場合などに預金者保護をする仕組みの枠外にあるということです。
そのため、銀行が倒産した場合には外貨預金相当分は、その銀行の残余財産に応じて返済されるということになります。倒産したわけですから100%戻ってくるという可能性は極めて低いです。
一方でFXの場合は実は預けているお金(FXの場合、証拠金といいます)については法律によって預かっている資金をFX会社の資産とは別に管理することになっています。FX事業者は信託保全という仕組みを使って、預かり資金を信託銀行に預けるため、万が一FX事業者が破綻した場合でも顧客資産は保護されます。
外国為替投資をしたいなら外貨預金を選ぶ理由はない
もちろん、銀行によっては以下のツイートのようにキャンペーンの一環としてお得な外貨預金を提供するケースもあります。それを活用する分はよいでしょう。
ただし、それ以外の状況において外国為替への投資や運用をしたいのであれば「外貨預金」という金融商品を選ぶメリットはほぼないです。外国為替投資(取引)をするのであれば、コストが圧倒的に安く、運用上も有利なFX(外国為替証拠金取引)の方を選択する方が圧倒的に有利です。
一部の銀行の「外貨決済サービス」については利用価値あり
外貨預金について原則的には使うべきではないという話でしたが、一部の銀行が提供している「決済」を含めた外貨預金については利用価値があります。
たとえばソニー銀行では外貨預金の残高を使ってソニーバンクウォレットというデビットカードを通じて外貨決済が可能です。クレジットカードなどで外貨決済をする場合は1%以上の手数料がかかることを考えると同行の為替手数料(ドル円なら0.1%ちょっとくらい)はかなり優秀と言えます。
海外旅行や海外出張、あるいは海外のECサイトなどを利用して外貨で決済をする機会があるという方に関してはこうした決済機能付きの外貨預金は悪くない選択肢だと思います。
参考(外部リンク):ソニー銀行からソニーバンクWALLET登場。外貨決済機能に強み!
筆者について
しょうこちゃん(@showchan82)
ポイ活(ポイント活動)をしながら、それを投資に回すポイ活投資を実践しているポイント投資家。ポイ活というとお特に買い物をする、というイメージが強いかもしれませんが、それだけではなく、貯金や資産運用(資産形成)にも強く役立てることができるんです。ポイントを利用したお得な貯金のやり方や投資術などを実際に自分自身で試しながら日々研究しています。
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