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なぜか身長を気にしすぎる男たち「身長の高低で男の未婚率は変わるのか?」

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

低身長化した若者

最近の男子の身長が低くなっている。

そんな話を以前当連載でも書いた。微差ではあるが、今の18-19歳の男子の身長は、40代の中年おじさんよりも低くなっているのである。

「若者の給料」と同様に、30年間伸びていない「若者男子の低身長」問題

文科省の学校保健統計調査から、2021年の高校2年生男子(17歳)と2000年のそれとを比較すると、全体の平均身長では双方とも170.8cmで同じなのだが、各身長単位での分布の差を見ると、2000年の平成の17歳より2021年の令和の17歳の方が、164cm以下の分布が増えている。170-174cmの分布も増えているのだが、そのかわり175cm以上は減っている。

ざっくりいえば、高身長が減って、低身長が増えていることになる。ちなみに、2000年に17歳だった男子は今40歳のおじさんである。やはり、おじさんの方が若干身長が高いのである。

身長の話に触れられたくない男子は多いだろう。特に、169cmの男子は、たった1cmの差であっても「170cmある」と言いたいのではないだろうか。

以前にも「低身長の男には人権がない」などと発言して炎上した人がいたが、男性にとって身長の問題は年収の問題より敏感な話かもしれない。

身長で未婚率は変わるのか?

さて、では、昨今の未婚化と非婚化とこの若者男子の低身長問題は関係するのだろうか?

要するに、身長によって未婚率は変わるのか?という話である。

例によって、こんな調査は国の基幹統計では実施していないので、私の調査結果をご紹介したい。各身長別の割合を2020年国勢調査の人口と掛け合わせて独自に計算したものである。

未婚率だけでみれば、20代はどの身長もたいした違いはない。30代では170-174cmがもっとも未婚率が低いが、決して高身長だから結婚できていると言えないばかりか、むしろ175cm以上の30代の方が未婚率が高い。

20代と30代のそれぞれの全体平均との差分を比較したのが右の図である。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

こう見ると、20代も30代も真ん中の170-174cmがもっとも結婚していて、低身長と高身長の未婚率が高くなっている。特に、30代の方は175cm以上がもっとも未婚が多いという結果となった。

とはいえ、170-174cmは全体の3分の1以上を占めるボリュームゾーンであり、そこがもっとも未婚率が低いということは悪い話ではない。年収の場合は、高い層から順番に売れていくものだが、身長に関しては、平均でもあり中間層がもっとも結婚できているようだ。

写真:アフロ

とはいえ、164cm以下の身長の男子の場合は、平均より▲7%ポイントも未婚率が高い。身長も見た目のひとつであり、多少なりとも恋愛において影響が大きいことは否定できない。

が、それは大きすぎる男子にとっても同様に言えることであり、あまり気にすることではないが、どうしても気になるならば、自分の身長と同じような相手との「身長同類縁」を模索すべきだろう。

身長で年収は変わるのか?

ところで、恋愛はともかく結婚となると必ず男の経済力は条件として重視される。同類縁結婚が以前より増えたとはいえ、それは年齢や学歴の話であって、結婚となると女性は自分と同等では満足しないという面は事実として存在する。

先に、身長だけで未婚率を比較したが、身長に応じて年収に違いはあるだろうか。もし、違いがあるのであれば、未婚率は身長云々より年収によって左右されているという話になるからだ。

身長ごとの20-30代の年収の中央値を未既婚で比較したものが以下である。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

結果は、身長によって年収が変わるというような大きな相関は見られなかった。

つまり、当たり前だが、身長の高さによって経済力が決まるなんてことはないのである。細かく見れば、ここでも中間層の170-174cmが未既婚とももっとも年収が高い。

但し、少しだけ興味深いのは、180cm以上の高身長の男性ほど未婚の方が年収も高い点だ。これは、高身長・高年収を活かして独身の恋愛を謳歌しているためだろうか。

また、一方で、未婚の場合164cm以下の男子がもっとも年収が低いのに対し、既婚の場合はその164cm以下がもっとも年収が高いことにも注目したい。年収の高さは身長を大いにカバーしているのかもしれない。

それは実際に夫婦になったカップルのうち恋愛弱者でも経済強者なら恋愛強者女性と結婚している場合が多いことからもわかる話である。

恋愛弱者の「恋愛力下剋上婚」の割合はどれくらいか?実際の夫婦調査から

やはり、低身長男子の場合は「経済力」というシークレットブーツが必要なのかもしれない。

提供:イメージマート

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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