30歳になっても成長し続ける札幌のエース都倉賢 今季のゴール映像から進化の秘密に迫る
北海道コンサドーレ札幌は現在、J2首位を快走中だ。そんな好調なチームの中で、ゴールを量産している不動のFW都倉賢選手に先日、インタビューを実施してきた。伺ったのは以下のテーマだ。
- SNS活用法の極意
- ネット上での炎上対策
- 日本代表に選ばれるための道筋
- 海外挑戦の可能性
- 引退後のセカンドキャリア
詳細は対談記事の前編、後編に譲るが、都倉賢が語る『準備、実行、後始末』のサイクルは、コンサドーレに移籍してきて3年目の今年、着実に成果が出てきている。
ここで都倉選手の札幌でのゴール映像を振り返りながら、どのように彼はシュート技術を磨いてきたかを振り返ってみたい。
2014年のJ2ベストゴールに選ばれた弾丸ミドルが彼の真骨頂
彼にとっての最大の武器は、利き足の左足から放たれる弾丸ミドルだ。2年前のJ2ベストゴールに選ばれたこのゴールは、彼の特長が全て凝縮されていると言っていいだろう。
仮にこのスーパーゴールがJ1リーグで記録されていれば、今頃都倉賢は海外クラブに引き抜かれていたかもしれない。それくらいワールドクラスなゴールだと私は思っている。
しかし、ここ最近はその「左足」が相手に警戒され、DFが対峙した状態でのシュートは、ほぼ読まれてシュートブロックされるシーンが散見されるようになってきていた。
その課題を克服したのが、今シーズンの第5節京都戦でのゴールだ。
京都戦・長崎戦で見せた新たな武器は進化の証
相手DFが都倉賢の左足を警戒するあまり、重心が左に寄ったところを見逃さず、都倉賢は右にボールをはたいて、右足で弾丸シュートを叩き込んだのだ。
更にこの京都戦でのゴールが、第18節長崎戦での得点の伏線となった。
京都戦と同じような状況で、都倉賢から見て右に広大なスペースがあった。相手DFも事前にマークに付くFWの今季の得点映像はチェックしているはずなので、都倉は右にはたいてくると予想したはずだ。
ここで都倉は相手DFの逆をついて、素早く左足にボールを持ち替えて、ちょこんと流し込むオシャレなゴールを決めたのだ。フットサルのような切り返しから、まるでゴールにパスするかのような柔らかいシュートだった。
30歳になり、オールラウンダーな選手に成長
私はこの3年間、札幌での都倉賢のプレーをつぶさに見てきているが、利き足でない右足の弾丸シュートや、切り返しからのこじゃれたシュート、どちらも見たことがない。両足で正確なシュートが打てて、絶妙な切り返し技術も習得した今の都倉は、対戦相手のDFにとって守備の山をはれない非常に厄介な選手になったと言えるのではないか。
こんなプレーの引き出しを持っていたんだと驚くばかりだ。30歳になった今シーズンも、貪欲に新しい技を習得し、常に成長し続けてきた成果と言えるだろう。
他にも、187cmの長身から叩きつけるヘディングシュートという武器も都倉は持っている。第16節松本戦で見せた連続ヘディングゴールは圧巻だ。
ヘッド、右足、左足、どれを使ってもゴールを奪えるオールラウンダーな選手に進化しつつある。
本来、こういった選手の特徴を晒すコラムは、相手クラブに分析材料を無償で提供することになるので、札幌サポーターとしては書きたくないのが正直なところだが、今の都倉賢の成長曲線を見ていると、相手がどんなに研究してきても止められないポテンシャルを持っているように感じる。
今季の目標としてJ2得点王を明言している都倉賢は第19節終了時点で10ゴール、J2得点ランキングで2位につけている。有言実行となるか、今後も注目していきたい。