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戦争中に行われた、鉄道による糞尿輸送

華盛頓Webライター
credit:unsplash

古より鉄道は旅客だけでなく、様々なものを運んできました。

しかし中にはユニークなものを運んでいた鉄道もあり、今回紹介する黄金列車はその一つです。

この記事ではかつて日本で行われていた、鉄道による糞尿輸送について取り上げていきます。

戦争中に行われた黄金列車

鉄道に糞尿を積んで運ぶなど、いかにも奇天烈な話です。

ことの始まりは大正時代末から昭和初期。大阪電気軌道、今の近鉄が「下肥(しもごえ)」として屎尿を貨車に積んでいた記録が最も古いとのこと。

農村の肥料として都会の「資源」を運ぶという、まあ、循環型社会の一歩と言えば聞こえはよいです。

時折肥桶が揺れる様子を思えば、なかなか香り高き旅路であったに違いないでしょう。

ところが戦中、太平洋戦争の勃発で事態は急変します。

東京都区部では労働力も物資も底を尽き、屎尿の処理すらままならなくなったのです。

とうとう「庭に穴を掘って埋める」という、やや危険な方法まで取られる始末でした。

この事態に現れた救世主が、鉄道の糞尿輸送です。

1944年、東京都は民営鉄道に「汚れ仕事」を依頼し、西武や東武鉄道が「黄金列車」を出動させます。

この列車、住民からは「汚い」「臭い」と言われつつも、実に大事な任務を果たしていたのです。

名古屋でも同様に、鉄道が都市と農村を結ぶ橋渡し役として働き、大いに顰蹙を買いながらも地域の衛生を守っていました。

こうして鉄道はただの運び屋にあらず、都市と農村を繋ぐ隠れた英雄であったのです。

参考文献

小川裕夫(2010)『封印された鉄道史』(第1刷)彩図社

Webライター

歴史能力検定2級の華盛頓です。以前の大学では経済史と経済学史を学んでおり、現在は別の大学で考古学と西洋史を学んでいます。面白くてわかりやすい記事を執筆していきます。

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