600円台から500円台へ下落…サラリーマンの昼食代事情
サラリーマンにとって数少ない日々の楽しみの一つがお昼の食事。その食事に費やす昼食代の動向を、新生銀行が毎年定点観測的に調査・報告をしている「サラリーマンのお小遣い調査」(直近分は2016年4月8日から13日にインターネット経由で実施。有効回答数は2353人。男女正規就業者に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。会社員(正社員以外に契約・派遣社員も含む)は男性1047人・女性789人。世代構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て。実社員数、人口数をもとにしたウェイトバックはかけられておらず、全体値では実情と比べて偏りを示している場合がある)から探る。
物価がほぼ横ばいで推移する中、サラリーマンの昼食代は今世紀に入ってから漸減。500円台前半で横ばいを維持していた。しかしここ数年は景況感の回復、そして2014年に入ると消費税率の引き上げや円安基調に伴う物価の上昇を受け、トレンドも上向きに転じる形となっている。ただし直近ではわずかに下げてしまった。
直近の2016年はここ数年来の上昇機運から転じ、前年の600円台から500円台に転落。ほぼ2007年と同額で、金融危機以降の減退ぶりと比べればまだ高値だが、前年比でのマイナス計上が残念であることに変わりは無い。
年齢階層別の前年比を確認すると、20代の減少が著しく(702円から528円)、これが全体にも影響を与えている。この動きが単なるイレギュラーなものか、継続的なものかは来年以降を見極める必要があるが、好ましい話では無い。ただし20代の社員食堂利用内訳率が、2015年の14.1%から2016年には20.6%と大きく伸びており、これが昼食代を引き下げた主要因の可能性はある。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
従来、属性別では未婚の方が既婚よりも昼食代は上だった。ところがこの数年では逆転現象が起きている。既婚・子供無し・共働きの世帯は一番高い金額を呈しているが、夫婦共働きで子供が居ないため養育費なども必要ないことから、金銭面での余裕があるものと考えられる。他方未婚者の額面がひかえめなのは、直上で記した通り若年層≒未婚者多し≒社員食堂の利用者多しの図式によるものと考えられる。
世代別では若年層ほど高く、歳を経るに連れて額が下がっている。20代がそのパターンに反して低い値なのは上記の仮説の通り。数年前までは大よそ年上ほど高額を示していたので、意外な感はある。ただし直上の仮説の通り、若年層の社員食堂の利用率が影響しているとすれば、道理が通る動きには違いない。
物価上昇なども一因だが、昼食代がこの数年上昇傾向にあることは、良い傾向に違いない。今後は600円台への回復を目標として増額を果たし、サラリーマンの昼食にもこれまで以上の選択肢をもたらし、彩りを添えてほしいものだ。
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