大地が元気になれば、ヒトも健康になる! 映画「いただきます ここは、発酵の楽園」が示す真の健康への道
突然ですが、今年も無事にわが家の手前味噌を仕込むことができました。15年ほど前にドイツで生活していた頃は、日本食の食材が手に入りにくい地域に住んでいたこともあり、納豆も手づくりしていました。さすがに納豆はやめましたが、手前味噌仕込みは今でも我が家で続けている年中行事の一つです。
なぜ私が手前味噌づくりを続けているのか―。このたび上映開始となった映画「いただきます ここは、発酵の楽園」には、その答えが余すところなく示されていました。
発酵が大地を癒し、ヒトを健康にする
農薬や化学肥料を使わない有機農業。長崎県佐世保市の農園「菌ちゃんファーム」の“菌ちゃん先生”こと吉田俊道さんは、微生物豊富でミネラル成分に富んだ土づくりに取り組んだ結果、ヒトの健康に寄与することが明らかになった第7の栄養素とされる「ファイトケミカル」を多く含んだ野菜づくりに成功しました。映画では、青森県弘前市で無農薬のリンゴ栽培を成功させた「奇跡のりんご」で知られる木村秋則さん、有機農業の里・山形県高畠町の菊地良一さんという、微生物の発酵を通じた土づくりに取り組む“発酵の達人”たちも、有機農業に込めた思いを語りつくしています。
菌ちゃん先生こと吉田さんから野菜づくりを学び、園内の畑で園児たちが野菜づくりに励む保育園の輪も広がっています。その一つ、長崎県佐世保市のマミー保育園では、収穫した野菜を用いた和食給食を園児たちに提供しています。
マミー保育園では、味噌づくりにも取り組んでいます。園児たちの手のひらでペタペタとこねられた手前味噌。ヒトに元来存在する常在菌とこうじ菌が発酵した手前味噌でつくった味噌汁を、美味しそうに飲み干す園児たち。園長先生によると、和食給食を始めて以降、園児たちの年間病欠日数がほぼ6分の1に減ったのだそうです。
大地が元気になると、ヒトも元気になるということを改めて実感します。
映画では、豊かな土づくり、いのちの循環を次の世代に受け継ごうとする、日本全国の動きも追っています。
千葉県いすみ市では、市内すべての小中学校でオーガニック米給食を実施しています。市当局と市内の農家が協力して、約3年かけて市内の小中学校14校すべてにオーガニック米を提供できるまでの生産量を確保できるようになったそうです。また、有機農業の里として知られる山形県高畠町の小学校では、年間を通じて農業授業があり、小学生たちは田植えから収穫までを体験しています。道徳の授業で学ぶよりも、深い実感を伴って「いのちの大切さ」を学べるはずです。
あなたはあなたが食べたものでできている
さて、手前味噌づくり歴15年余の私ですが、このところ軽い風邪症状以外は幸いなことに大きな病気をしていません。小学6年生になろうという年齢まで成長した息子も、小さいころにぜんそく症状があったものの、今ではほとんど風邪をひかず、好きなスポーツにめいっぱい取り組めています。
この作品には、こんなメッセージが添えられています。
You are what you eat.
(あなたはあなたが食べたものでできている)
作品を観終わった後、こう思いました。
来年も、そのまた次の年も、
手前味噌を作り続けようと。
健やかな未来を次の世代に受け渡すために、
一人でも多くの大人に観ていただきたい作品です。
映画「いただきます ここは、発酵の楽園」
(監督:オオタヴィン 上映時間:81分)
2020年1月24日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかで上映
【公式サイト】https://itadakimasu2.jp/
【映画特報】https://vimeo.com/358746571