「ドローンのおかげで情報収集時に人間の兵士が命を落とすリスクがなくなりました」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone（ドローン）」と「donation（寄付）」を掛け合わせて「dronation（ドロネーション）」という造語も作っている。

2023年2月には、世界中の市民からの寄付で調達された2機のウクライナのメーカーのSKYETON製の監視・偵察ドローンの「Raybird-3」が戦場の空挺部隊とウクライナ海軍に送られた。そしての「Raybird-3」の紹介動画をウクライナのメディアU24が制作していた。ウクライナ海軍のドローンを操縦する兵士が登場して「インテリジェンス活動や情報収集を行っている時に人間の兵士の命が奪われてしまうことがありました。でもドローンのおかげで人間の兵士が命を落とすリスクがなくなりました。このドローンは長時間にわたって敵の監視を上空から行うことができます。そしてちゃんと我々の元に戻ってきます。ドローンによって戦場の秩序が変わりました」と「Raybird-3」のメリットを語っていた。

「Raybird-3」は大型の監視・偵察ドローンで24時間以上の長時間の飛行が可能。悪天候でも飛行が可能で監視・偵察ができるので冬には適している。

▼バフムトの海軍に贈られた「Raybird-3」

戦場においてはドローンは探知されたら、すぐに機能停止させられたり、破壊されたりしている。ドローンで敵の居場所や情勢を確認したら、その場所をめがけてミサイルなどで攻撃を仕掛けるので偵察ドローンはすぐに破壊した方が良い。

「Raybird-3」はGPS機能がなくてもドローン内部のシステムで位置情報を確認しながら飛行することができる。電波妨害されにくく電子戦に強いのが特徴の1つである。だがこのような大型の監視・偵察ドローンは、小型民生品ドローンに比べると、目につきやすいので探知されたらすぐに破壊されてしまいやすい。そのためドローンは何機あっても足りない。ウクライナ政府はさらに多くのドローンがこれからも必要になることから世界中に寄付を呼びかけている。

このようにドローンは「上空からの目」として戦場では欠かせない兵器の1つになっている。上空から敵の様子を探り、敵を発見したら、その場所をめがけてミサイル攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したり、神風ドローンが標的に突っ込んでいき爆発させている。これほど多くのドローンが戦場で活用されているのは人類の戦争の歴史上でも初めてである。

ウクライナ政府は2022年12月31日に調達したドローンが1577機に到達し、既に928機が戦場に投入されたと報告していた。2022年10月から12月の3か月間で1400機のドローンを購入している。