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2022年の金融市場を振り返る(5月~8月)

久保田博幸金融アナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

5月

 5月2日の米国債券市場では米10年国債利回りが一時3.01%を付け、2018年12月以来の水準に上昇した。4日のFOMCでは0.5%の利上げを決定。0.5%の利上げは2000年以来。イングランド銀行は5日、政策金利を0.25%引き上げて年1%に。16日に日銀が発表した国内企業物価指数は前年比プラス10.0%となった。約41年ぶりに2ケタの伸びを記録。5月のドイツの消費者物価指数は前年同月比8.7%の上昇と約50年ぶりの高水準を記録。

6月

 10日発表の5月の米消費者物価指数は前年同月比の伸び率が8.6%と40年5か月ぶりの水準となった。13日に10年新発債の利回りが0.255%を付け、日銀のYCC政策の許容変動幅の上限となっている0.25%を超えてきた。14日の日本の債券先物は乱高下、日銀は臨時オペをオファー。日銀は15日に債券先物のチーペストとなる356回の指し値オペをあらたに加えた。15日も日本の債券は大荒れの展開に。15日のFOMCでは0.75%の利上げを決めた。17日の日銀の金融政策決定会合では現状維持を決定、10年債は0.265%から0.220%に低下。21日に入札された5年国債の利率が0.10%に引き上げられ新発債となった。日銀は6月13日から17日までに10兆9073億円もの長期国債買い入れを実施。スイス国立銀行は16日、政策金利を従来のマイナス0.75%からマイナス0.25%に引き上げた。利上げは2007年9月以来。5月の英国の消費者物価指数は前年同月比9.1%の上昇と1982年3月以来の高い伸びに。

7月

 7月8日に奈良市で演説をしていた安倍元総理大臣が男に銃で撃たれた。10日の参院選は与党が圧勝。14日の東京時間の外為市場でドル円は一時、139円39銭まで上昇した。6月の米消費者物価指数は前年同月比の伸び率が9.1%と1981年11月の同9.6%以来の高い伸びとなった。6月の企業物価指数は前年同月比9.2%の上昇と1980年12月の10.4%以来の歴史的な水準に。6月の英国の消費者物価指数は前年同月比9.4%の上昇と伸び率は1982年以来の高水準。27日のFOMCで0.75%の利上げを決めた。

8月

 イングランド銀行は4日、政策金利を0.5%引き上げて年1.75%にすることを決定。10日発表の7月の米消費者物価指数は前年同月比8.5%上昇と6月の9.1%から縮小。17日に発表された7月の英国の消費者物価指数は前年同月比10.1%の上昇と1982年2月以来の高い伸びに。欧州ではロシアが天然ガス供給を制限していることでエネルギー危機が発生。7月のドイツの生産者物価指数は前年同月比37.2%と1949年の統計開始以来最大の伸びとなった。これを受けて日米欧の長期金利が上昇。パウエルFRB議長はジャクソンホールの講演で、インフレの抑制について、やり遂げるまでやり続けなければならないと利上げ継続を明らかにした。欧州の天然ガス価格は26日に過去最高値を更新。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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