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インターネットで知り合った人を信頼するのに重要なことの実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「また騙された」。インターネット上の知り合いを信頼できるか否かの判断材料は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・インターネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重要視していることの最上位は「相手のオンラインでの発言」。次いで「相手の名前が分かること」。

・大よそ年上ほど「特に無い」とする意見が多く、若年層ほど特定項目の回答率が高い。

・女性は男性よりも「相手のオンラインでの発言(内容)」「相手の名前が分かること」で高い値が出ており、相手の素性の確認ができることを重視している傾向がある。

インターネットで知り合う人を信頼できるか否か判断する上で、人はどのようなことを重要視しているのだろうか。その実情を総務省が2018年7月に発表した「情報通信白書」内で公開している独自調査「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(※)の結果から確認する。

次に示すのはインターネット上で知り合った人に対して信頼を置く場合、どのようなことを判断基準とするか、複数回答で尋ねた結果。もっとも多くの人が同意を示したのは、「相手のオンラインでの発言(内容)」で28.7%が同意を示していた。

↑ インターネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重要視していること(複数回答)(2018年)
↑ インターネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重要視していること(複数回答)(2018年)

単発の発言だけでは判断が難しいが、ソーシャルメディアならば該当者の過去の発言は容易に確認ができるし、ウェブサイトやブログでも匿名のもので無ければ過去の記事を探すことはできる。発言内容の記録がその人の履歴書となり、人となりを精査する材料となるわけだ。

次いで多いのは「相手の名前が分かること」で27.9%、「相手のメールアドレスなどの連絡先や、他のサービスで利用しているアカウントが分かること」の22.2%が続く。要は行動の傾向も含め、素性が容易に確認できる相手であるということなのだろう。

他方、「重要視していることは特に無い」とする意見も49.8%とほぼ半数。特に条件は無く、何となく信頼できるか否かを決めている、あるいは元々信頼などしないということだろうか。ともあれ、半数近くの人は特定の条件でインターネット上の相手を信頼するか否かを決めるようなことはしていない次第ではある。

これを男女別に区分した上で年齢階層別に見たのが次以降のグラフ。まずは男性。

↑ インターネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重要視していること(複数回答、男性)(2018年)
↑ インターネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重要視していること(複数回答、男性)(2018年)

大よそ年上ほど「特に無い」とする意見が多く、若年層ほど特定項目の回答率が高い。若年層はインターネット上の相手を信頼するにあたり、多様な条件付けをして慎重に判断しているように見える。ただし「相手のメールアドレスなどの連絡先や、他のサービスで利用しているアカウントが分かること」に限ってはむしろ高齢層の方が高くなっており、他サービスでの動向の確認は高齢層の方が関心を寄せているように見える。

続いて女性。

↑ インターネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重要視していること(複数回答、女性)(2018年)
↑ インターネットで知り合う人を信頼するかどうか判断する上で重要視していること(複数回答、女性)(2018年)

傾向としては男性とさほど違いは無いが、「特に無い」とする回答率が男性よりも低めで、特定項目の回答率が高めとなっている。女性は男性と比べ、信頼するに値するか否かの判断の際に、より注意深く慎重になっているようだ。

特に「相手のオンラインでの発言(内容)」「相手の名前が分かること」では男性よりも高い値が出ており、相手の素性の確認ができることを重視している傾向にあることが分かる。

白書では今件傾向について、次のようにまとめている。

オンライン上で信頼を得るには、実名でかつ適切な発言をするということが重要であり、そうした繰り返しがオンラインでコミュニケーションを行う上で信頼を得ることにつながると考えられる。

これはオンラインに限らず普段の生活全般に当てはまることに他ならない。インターネットもまた、コミュニケーションのツールの一つに過ぎないのだから。

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※ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究

日本・アメリカ合衆国・イギリス・ドイツにおいて2018年2月から3月にかけてインターネット経由で20~69歳(日本のみ20~79歳)の男女に対し行われたもので、有効回答数は日本で1200人、それ以外の国でそれぞれ1000人。10歳区切りの年齢階層と男女別で均等割り当て。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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