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いまさらながら思い出した、ロウキ世代のポテンシャル

楊順行スポーツライター
(写真/筆者)

 24日のプロ野球では、佐々木朗希(ロッテ)が3勝目を挙げ、石川昂弥(中日)が4打点……高卒プロ入り3年目の活躍に、あらためて昔のスコアブックをひっくり返してみた(写真)。

 これ、2019年8月26日の神宮球場。U18ワールドカップに出場する高校日本代表が、大学日本代表と対戦した壮行試合のものだ。わかりにくいけれど、真ん中下あたりに高校日本代表の先発として、「佐々木」とあるでしょう。そう。この試合では当時大船渡高3年だった佐々木が初回、大学生を相手に三者凡退で退けているのだ。三番が、いまソフトバンクの柳町達(慶応大)で、ここは152キロの真っ直ぐで空振り三振。ストレートはすべて150キロを超え、最速は156キロだった。

 右手中指の血マメが悪化し、1回の12球限りで降板したが、大学代表を率いた生田勉監督も「度肝を抜かれました」。先発の森下暢仁(明治大・現広島)は2回を1失点で、

「佐々木君を見て、力が入りました(笑)。高校生で、あれだけの強い球を投げるとは……」

 と舌を巻いていた。

 翌20年、10勝して新人王に輝く森下から初安打を放ったのが、高校代表の四番を打った石川だ。幸運なテキサス性の二塁打で出て、盗塁のあと相手守備の乱れもあり先制のホームイン。5対5の引き分けだったこの試合、石川は3安打2打点の活躍だった。

 また、佐々木降板のあとを受けたのが宮城大弥(興南高・現オリックス)で、四番に座った中央大・牧秀悟(現DeNA)に3ランを浴びたものの、3イニングで5三振を奪い、投球術の巧みさをのぞかせている。ほかにも、大学の2番手で登板した早川隆久(早稲田大・現楽天)ら、プロ野球選手の名前がいくつも見える。夏の甲子園で準優勝した星稜高・奥川恭伸(ヤクルト)は、疲労を考慮して一塁コーチャーだったけど、なかなかに豪華なメンバーですねぇ。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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