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「NEWS」小山、取材者として被災地と共に歩んだこの4年間

山田美保子放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

3.11.昨日から、各局の生番組のキャスターやコメンテーターが被災地入りしている。

東日本大震災から4年。女川町のように、そのスピード感あふれる復興が“お手本”のようになっている町もあれば、まだまだ先の見えないような地域も多数あるのが現実だ。

今年1月17日。阪神淡路大震災から20年という特番の被災者アンケートの中で、「心の復興は『まだ』」とする方のパーセンテージが多くを占めていたことが心に突き刺さった。

風化させてはいけない

東日本大震災では、いまだにご家族が行方不明で、“心の復興”どころか“区切り”さえつけられない方々がたくさんいらっしゃる。

私はこれまで、所属している『エンジン01文化戦略会議』のメンバー主催の、さまざまなボランティア活動に参加してきた。「微力だけど無力ではない…」を心の支えに、今日もサントリーホールで行われる『3.11チャリティコンサート』の“バケツ募金隊”に、湯川れい子さん、諸田玲子さん、ケント・ギルバートさんらと共に参加する。

件の阪神淡路大震災が起きた年は、それから約2ヵ月後、東京で地下鉄サリン事件が起きた。以来、在京局のテレビ局の報道は、オウム真理教関連ばかりとなり、在阪局のスタッフやアナウンサーの多くが「まだまだ全国に向けて伝えたいこと、伝えなければいけないことがたくさんあるのに」と悔しがっていたのを覚えている。

同じように、東北地方のテレビ局のスタッフやアナウンサーたちは、「風化させない」「風化させてはいけない」と4年前も、そして今も、伝え続けていらっしゃる。

ほぼ毎週のように取材

そんな中、在京局のニュースキャスターで、もっとも東日本大震災の被災地に足を運んでいる1人が、『news every.』(日本テレビ系)でキャスターを務める小山慶一郎くんだ。

小山くんが、ジャニーズ事務所所属のアイドルグループ「NEWS」のメンバーでありながら、『…every.』のキャスターになったのは、2010年4月。当初は水曜日のみの出演だったが、現在は、月曜から木曜まで16時台を仕切り、水曜日は以前のように番組エンディングまで出演している。

そんな小山くんが『…every.』に出演するようになってから約1年後に起きたのが東日本大震災。以来、小山くんはほぼ毎週のように被災地関連の取材をしている。

直後は、ライフラインが遮断されている中、長時間、歩いて現場に入り、懸命にリポート。

土砂が流れ込み、機械や商品が埋まってしまった缶詰工場では、従業員の方と共に泥まみれになった缶詰を一缶一缶拾い、泥をぬぐうのを手伝った。

また、店を失った主人が再び商いを再開する際には身内のように喜び、また時には得意の手話を使いながら弱者の想いを聞き出したりしていた。

ホントにジャニーズなの?

「正直、もっていかれちゃいそうになることもありました……」と当時、小山くんは言っていた。

同僚だった丸岡いづみキャスターが、いわゆる“震災うつ”で苦しんでいたのも間近で見ていた小山くん。自身も、被災者の皆さんの過酷な現実を目の当たりにし、身体は大丈夫なのに心がダウン寸前だったことがあったそうだ。

そんな小山くんの気持ちを再び奮い立たせたのは、被災者の方からかけられる感謝の言葉の数々だったという。

最初は「君、ホントにジャニーズなの?」と疑われる(!)ことも多かったそうだが、何度も足を運んでいるうちに、「また来てくれたんだね」「よく来てくれたね」と顔見知りがどんどん増えていき、それからは、「おかえり」と声をかけられることも増えたとか。

復興という言葉が徐々に聞かれるようになってからは、被災地の農産物を積極的に食し、件の缶詰を使った料理を出す東京の居酒屋にも足を運んでリポートしていた。

アナウンサーに向いてる!

先日、『しゃべくり007』(日本テレビ系)にゲスト出演した小山くんは、「日テレ内で『君、誰と同期だっけ?』とアナウンサーに間違えられる」「毎日、社食でお昼を食べている」「名刺を持っている」と、アイドルらしからぬエピソードを次々披露。中でも、「報道局にデスクをもらえそうだった」という話では、大御所のキャスターでさえデスクはなかなかもらえないという日本テレビの“慣例”を挙げ、丁重に断ったと言い、「くりぃむしちゅー」や「ネプチューン」、「チュートリアル」らを笑わせた。

その中で、いまから7~8年前、まだ『…every.』のキャスターになるなんて話はこれっぽっちも出ていなかった頃、ジャニーさん=ジャニー喜多川社長から、「ユー、アナウンサーになっちゃいなよ」と言われたことを明かしていた。

実は以前、小山くんにインタビューした際、正確なフレーズを私は聞いているのだが、それは「ユー、テレ朝、入っちゃいなよ」だった(笑)。ジャニーさんは、小山くんに、「ユーはアナウンサーに向いている」と言い、テレビ朝日のアナウンサー試験を受けるよう、促したのだという。

ジャニーさんの“先見の明”は、やはり本物中の本物であると思うと同時に、見事、それに応えた小山慶一郎くんもまた素晴らしい。

「NEWSの小山くん」は、「ニュースの小山くん」に。「どっちのニュース(NEWS)か分からない」のも、うれしい悩みだという。これからも小山くんは被災地に寄り添い、被災地の“いま”を伝えていくハズだ。

放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

1957年、東京生まれ。初等部から16年間、青山学院に学ぶ。青山学院大学文学部日本文学科卒業後、TBSラジオ954キャスタードライバー、リポーターを経て、放送作家・コラムニストになる。日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」、フジテレビ系「ノンストップ!」などの構成のほか、「女性セブン」「サンデー毎日」「デイリースポーツ」「日経MJ」「sippo」「25ans」などでコラムを連載。「ドデスカ+(プラス)ドデプラ」(名古屋テレビ)などに、コメンテーターとしてレギュラー出演している。

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