少林山達磨寺『洗心亭』群馬県指定史跡*ブルーノ・タウトが過ごした侘び住まい【高崎市】
洗心亭
少林山達磨寺の境内に群馬県指定史跡『洗心亭』があります。
昭和2年に建てられた洗心亭は、八幡村の農業指導のために訪れる佐藤寛治博士の滞在のために八幡村の大地主である沼賀博介氏により建てられましたが、佐藤博士が滞在したのは1度だけだったそうです。
ドイツ近代の世界的建築家 ブルーノ・タウトがナチスドイツの台頭を避けてエリカ・ヴィティヒとともに日本に亡命し、高崎の井上房一郎氏の仲立ちで昭和9年8月1日より2年3ヵ月の間滞在しました。
紅葉する樹々に彩られた『洗心亭』
洗心亭の周囲をぐるりと歩いてみましょう。
タウトが洗心亭に滞在中に毎日散策したという 『タウトの思惟の径』の案内板には、タウトが滞在中に「日本文化を研究しその素晴らしさを世界に発表した」と記されています。
タウトはドイツで暮らす間にも鴨長明の方丈記などを読み日本の侘び寂びの文化に関心を持っていたため、洗心亭での自然に囲まれた「侘び住まい」をとても気に入ったそうです。
タウトは洗心亭に滞在中に、方丈記の英語版をドイツ語に翻訳しました。
洗心亭の傍らにタウトが少林山に残した言葉「ICH LIEBE DIE JAPANISCHE KULTUR:私は日本の文化を愛す」の碑があります。
タウトが暮らした『洗心亭』
特別に洗心亭の中を拝見させていただきました。(撮影:2023/5月下旬)
少林山達磨寺ではタウトの滞在中には大変手厚くお世話をしたそうです。
タウトとエリカさんの写真がありますね。
方丈記と似た生活(今で言うミニマリスト?)を送った6畳と4畳半の二間で、タウトとエリカさんは囲炉裏を囲んで何を語り合ったのでしょうか。
樹々の緑に癒されたことでしょう。
侘び暮らしが気に入ったタウトでも日本家屋の冬の寒さは辛かったと思われます。
お寺のお風呂に毎日入って温まったそうです。
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ブルーノ・タウトは日本に亡命する前に、2008年にユネスコ世界遺産に登録された「ベルリンのモダニズム集合住宅群」6つの集合住宅の内、4つの建物の設計を手掛けています。
↓タウトがメインデザイナーを務めたベルリンの Hufeisensiedlung(馬蹄形住宅:ホースシューエステート)
約100年前に建てられた住宅団地は今も現役で生き続け、自然が豊かになりむしろ味わいを増しているそうです。
日本では本職の建築では力を発揮することは出来ませんでしたが、洗心亭を本拠地にして、おもに関西から東日本の各地を廻り、画帳『桂離宮』『ニッポン』『日本の家屋と生活』『建築芸術論』『日本文化私観』などの著作を通して、日本建築の自然と調和した美しさと日本文化の素晴らしさを世界的に知らしめた功績は、私たち高崎市民にとって誇るべきことではないでしょうか。
(少林山達磨寺 HP:達磨寺とブルーノ・タウト より)
少林山達磨寺の境内にある『洗心亭』や「タウトの思惟の径」を散策してみませんか?
本堂前では「落葉アート」も楽しめますよ♪
【詳細情報】
少林山達磨寺
公式HP. .公式Instagram. .公式Facebook
住所:高崎市鼻高町296(GoogleMap)
電話:027-322-8800
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高崎市HP「洗心亭」