子供達の新聞離れの実情をさぐる(2019年公開版)
子供達の日常生活の実情は保護者以外には分かりにくい。全体像はなおさらの話。子供達において新聞離れが進んでいる実情を、文部科学省が2019年7月に発表した全国学力・学習状況調査(※)の結果を基に確認する。
次に示すのは対象となる小中学生が新聞を読んでいるか否か。設問は単純に「新聞を読んでいますか」のみで、具体的な種類は問われていない。また媒体も限定していないので、電子版の有料購読をしている場合も該当し得る。もっとも単に新聞の閲読の有無を問われた場合、小中学生ならば紙の新聞をイメージして答えるのがほぼすべてだと考えられる。
「若者の新聞離れ」とはよく聞く言い回しだが、小中学生においてもその言葉は当てはまる結果が出ている。月1程度でも読む人も閲読者と試算しても、直近で小学生の閲読率は4割足らず、中学生では3割足らずでしかない。しかも7年分のデータしか無いのであくまでも仮説となるが、ますます新聞から距離を置く傾向を示している。通常の新聞は定期購読され毎日世帯に投函される状況を考えれば、購読世帯ではほぼ毎日読める機会は生じる。その上でその機会を活かし、日々新聞に目を通しているのは、小学生で7.1%、中学生では4.5%でしかない。
この減少傾向には、世帯ベースでの新聞閲読率が減少しているのも影響しているものと考えられる。子供が自ら望んで新聞を購入・調達するとは考えにくいからだ。一方で小学生よりは中学生の方が、閲読率は低い。
無論、新聞を読まないことが社会への関心の薄さを意味するものでは無い。社会の情報を得る手段は他にもたくさんある。新聞はその手段の一つに過ぎないからだ。
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※全国学力・学習状況調査
2019年4月18日に国公立および私立の小中学校に対し悉皆調査方式(標本調査ではなく全体を調べる)で行われたもので、実施学校数は小学校が1万9455校、中学校が9550校。国語A・Bと算数(数学)A・B、英語から成る教科調査(学力テスト)に加え、生活一般の実情を問う質問紙調査が行われている。
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