NY金15日:ギリシャのデフォルト・リスクで急反発
COMEX金6月限 前日比8.70ドル高
始値 1,192.20ドル
高値 1,202.90ドル
安値 1,188.30ドル
終値 1,201.30ドル
ギリシャ情勢の先行き不透明感を受けて、反発した。
アジア・欧州タイムは1,190ドル台前半を中心に揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入り後に一気に1,200ドル台を回復する急伸地合になっている。ギリシャ債務問題の解決に否定的な見方が強まる中、リスクオフの動きが強まるリスクが警戒された模様。ギリシャ政府閣僚からは、新たな緊縮覚書への署名は行われないとの見通しが示されている。また、ドイツ財務相は来週中の決着は期待できないとの趣旨の発言を行っている。16日にはギリシャ財務相と米大統領の会談が予定されているが、格付け会社S&Pはギリシャの格付けを「CCC+」まで引き下げており、デフォルト・イベントに対する備えが要求される状況になっている。
本日は米国株が過去最高値圏での推移になったこともあり、本格的に金相場を買い進むような動きは見られなかった。24日にはユーロ圏財務相会合が予定されているが、そこでの合意に達するためには、ギリシャ政府が改革案を提示し、それをユーロ圏諸国が審査する時間が必要とされる。ただ、もはやこうした時間がない可能性が指摘されており、再びギリギリの交渉が展開されることに対する警戒感が強くなっている。一部では、ギリシャ政府が既にデフォルトに備えて動き始めているとの報道もあり、再びギリシャ情勢がマーケットの関心を集めている。
当然にギリシャのデフォルトといった事態になれば、金相場は瞬間的に買い直される可能性が高まる。今年1月には一時1,307.80ドルまでの急伸がみられたが、同様の相場展開が再現するリスクが浮上していることには注意が必要。これが米金融緩和縮小の流れに修正を迫らない限りは戻り売り基調に変化はないと考えているが、再びギリシャ発のリスクオフイベントが警戒される状況になっている。利上げペースをどのように織り込んでいくのかというメインの流れに対して、ギリシャ情勢という支流が短期的な波乱要因になっていることが、本日の金相場上昇の背景である。