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この選手が継続中の「36試合連続出塁」が注目される理由。史上最長は84試合

宇根夏樹ベースボール・ライター
ワンダー・フランコ(タンパベイ・レイズ)Aug 30, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月6日、ワンダー・フランコ(タンパベイ・レイズ)は、1回表に三塁打を打ち、7月25日からの連続出塁を36試合に伸ばした。

 ナ・リーグとア・リーグの球史における、連続出塁試合の最長記録は、1949年にテッド・ウィリアムズが打ち立てた84試合だ。それと比べると、フランコのストリークは、まだ半分にも達していない。歴代トップ10にランクインするにも、あと20試合以上を要する。

 ただ、フランコは、6月22日にデビューしたばかりのルーキーだ。年齢も、まだ20歳。2001年3月1日に、ドミニカ共和国で生まれた。

 フランコの前に、20歳以下で30試合以上の連続出塁を記録した選手は、4人(延べ5人)しかいない。ストリークの長い順に、43試合連続のフランク・ロビンソン(1956年)、36試合連続のミッキー・マントル(1951~52年)、33試合連続のメル・オット(1929年)とアーキー・ボーン(1932年)、30試合連続のオット(1928~29年)だ。フランコのストリークは、現時点でマントルに並んでいる。上にいるのは、ロビンソンだけだ。

 ロビンソン、マントル、オット、ボーンは、いずれも殿堂入りしている。4人とも、シーズン出塁率のリーグ1位が2度以上あり、3人の通算出塁率は.400以上。ロビンソンも.389と高い。また、ボーン以外の3人は、通算500本以上のホームランを打った。ボーンの本塁打は三塁打より少なく、96本と128本だった。ちなみに、ウィリアムズも、シーズン出塁率のリーグ1位が2度以上、通算出塁率.400以上、通算500本塁打以上のすべてに当てはまる。

 フランコは、球界最高のプロスペクトと目されてきた。シーズン前に、ベースボール・アメリカ、ベースボール・プロスペクタス、MLB.com(MLBパイプライン)がそれぞれ発表するプロスペクト・ランキングで、昨シーズンも今シーズンも、揃って全体1位に挙げられた(昨シーズンは、マイナーリーグの試合が行われなかった)。

 ここまでの59試合は、打率.290と出塁率.349、7本塁打、OPS.823。二塁打と三塁打は15本と4本だ。ストリーク中の36試合は、打率.336と出塁率.399、4本塁打、OPS.951。二塁打と三塁打は13本と3本だ。フランコは、その評価どおりのスタートを切った。言うまでもないが、どのトップ・プロスペクトも必ずそうなるとは限らない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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