【戦闘者、稲川義貴】が考える現代の危機管理2・本当は自衛隊より一般人が強いんですよと彼が話す理由
戦闘者 稲川義貴が考える今の時代の危機管理・護身について その2
戦闘者稲川義貴さんのインタビュー記事第2回目です
様々な分野で活躍中の戦闘者、稲川義貴氏。
前回のおさらい 前記事はこちら
前回分かったこと
・零距離戦闘術(ゼロレンジコンバット)という近距離戦闘術の創始者
・見た目は怖いがかなり優しい
・自衛隊や警察への指導、映画の戦闘の殺陣もつけなどでも活躍中
・戦闘だけではなく守り、危機管理能力の知識が想像を超えていた
・ベース(道場)の深き森感や武器の量が半端ない
今回は稲川氏から見た戦闘のプロと一般人の危機管理の違いとその考え方についてお伺いしていきたいと思います。
教える立場から見た戦闘や守りへの感覚の違い
Q――稲川さんは指導者として自衛隊の訓練ではプロに、映画では俳優さん、また仲間や時にワークショップで一般のいわゆる素人の方にも教える、様々な人たちへの指導を経験しているわけじゃないですか?
そんなに色々な場面で攻めや守りに向き合う立場の人はなかなかいないと思います。その中で感じるそれぞれの戦いや守りに対する違いがあったら教えて下さい。また、素人の方を見る時にここが危ないここが足りないと感じる部分はありますか。
自衛隊などへの訓練指導の場合
ーーまず自衛隊など公的機関の訓練からお願いします
稲川氏
自衛隊など戦闘訓練の場合 まず、自衛隊の訓練は魂がこもっています。そりゃもう全然違います、危機管理意識の違いは明確ですね。彼らは命を懸けて訓練するわけですから。日本を守る、守るものが大きいので、向き合い方など、ここはほかの指導とは全然違いますね(きっぱり)。
――めちゃくちゃ指導もこわそう(汗)・・・
稲川氏
いえ、そうでもないですよ。ただ訓練はもちろん命がけで彼らも真剣ですから。現場の切羽詰まる状況で出来ていない時に注意しすぎると、かえって精神的に追いつめてしまってすごく危ないこともある。だから危機管理という考え方でもその場では出来るようにだけまず説明、というか出来るように指導する。そして反省会などそのあとで注意するという指導方法をとることはありますね。もちろん場合にもよりますが。
――なるほど、確かに指導する側はいかに相手のメンタル面も考えて怪我や事故を起こさないように指導するかも大切ですよね。バランスですね。
映画の戦闘戦術指導の場合
稲川氏
次に映画の話になりますが、俳優さんたちも、戦闘シーンに向き合う時、とても真剣に取り組んでくださり、気持ちの面から入ってくれます。
どの方も真剣ですが、特に映画『RE-BORN』での斎藤工さんは向き合い方が凄かった。車いすの役でね、戦闘員としての動きというより戦闘員の思いというか気持ちに本気で取り組んでくれて印象的でしたね。その思いの強さなどに凄い気迫を感じます。
ただ俳優さんたちは同じ枠の映画の中で同時に別の生活シーンだったり恋愛だったり悲しみだったりいろんなことを演じなければいけませんので。真剣に役に入り込み、その枠の限られた中で戦闘と向き合いその時に演じる形になりますよね。そこをうまく集中して指導というか伝えられるようにお手伝いできればと思っています。みんなそれぞれ真剣ですがキングダムでの山崎賢人君もかなり向き合ってくれたと感じた一人です。
ちなみにアクション俳優の坂口拓さんなどは、もちろんアクションがメインなわけですから、一緒に向き合ってとにかく集中して集中してバチーン!と最高のパフォーマンスを出し切ってくれるわけです。
――なるほど、一言で戦闘のアドバイスと言っても映画の場合は色々なパターンがあるんですね。なかなか聞けない興味深い話をありがとうございます。
――では一般の方への指導や感じることは?
一般人への指導で感じること
稲川氏
一般の方にお会いして指導する場合、例えばワークショップではその時々で色々なことを行います。ただ、その人が上手にできてもできなくても私の方では正直そんなに気になりません。
―えっ?気にならないですか?この人はあまり上手にできないなとか強いとか弱いとか?
稲川氏
はい、全然!笑。基本(稲川さん自身が)何でも受け入れて、ああ、なるほどこの人はこうだって思っちゃうというか、そのまま受け入れるタイプなので、全く気にならないです。
それよりもそこから、その人の今の状態から何をどうすればよいのか?を考える形になりますので。足りない部分などを先に気にすることはありませんね。
――確かに稲川さんと知り合って一番驚いたのは、こちらが無茶ぶりをしても『ダメ』と言わないところですよね。基本『ああ、いいですよー』から入り、よほどでないと否定しない。まずは何でも柔軟に受け入れてくれてから考えるという感じがありますよね。
稲川氏
ああ、はい、基本自分もまだまだ修行中ですので(照)。人の動きを見ても勉強になりますし。指導はするけど、自分自身が色々教えてもらいたいといつも思っているし知りたいですからね。
そしてその中で新しく【なるほど】って思えるいいものがあったら、どんどん取り入れて進化させていけたらと思っているんですよね。(笑顔)
ーー本当にそこの考え方、謙虚ですよね。最近、護身術を何度か一緒に練習させていただきましたが、何度お会いしても見た目はバリバリなのに(ごめんなさい笑)考え方や姿勢はずっとその感じだなと。
ということは、その考えは守りや危機管理に対しても同じように考えていると受け取ってもいいでしょうか?
守る事、危機管理に対する考え方 (一般人は自衛隊より強いって!?)
稲川氏
もちろん!もちろんです!自衛隊など戦闘するもの達よりも、一般の人の方が強いわけですから、その中から改めて学ぶことも多いわけですし。
――え?自衛隊より一般人の方が強いってこと?それはちょっと言っている意味が分からないです。
稲川氏
ええと、つまり一般の人は生活の基盤というか土台があり、自分や家族守るべきものが集中していると思ってもらえるとかわるかな?
――んー?すみません、まだよくわかりません。
稲川氏
ではピラミッドを想像していただければわかりやすいのですが。
一番下が住んでいる国、その上が地域や自治体、そして職場など、友達や知り合い、最後の上が自分や家族。何かあれば下とも連携していますがまずは守るべきものが先端にしっかりある。上から何を順番にしっかりと守り大切にすればいいかわかるわけです。そうするとプロテクトの方法も見えてくるわけです。どう回避するかぎゅっと集中する部分の最善の守りを優先に考えることができるのが一般の方です。そしてその集中している部分を守るためならもちろん下に逃げてもいい。とにかくまずその先端を守ることを最優先に出来る凝縮した強さがあります。(熱)
――ああ。なるほど。ちょっとわかってきました。
稲川氏
だけど戦闘にかかわるものはもちろん自分や家族は大切ですが、一歩外に出た瞬間からやはり【使命】があるわけですから、ピラミッドが一気に逆になるわけです。
国を守り地域をまもりと【大きな部分から守る】ことを考えなくてはいけない。だからこそ、その広く大きな責任を背負って守るためには、様々な手段が必要です。(キリッ)
戦闘側はまず一番に下のピラミッドに逃げればいいという選択をするわけにはいきませんから、守るためにいざという時は攻めることも視野にいれての訓練をしなければいけない。だから戦う訓練もする。守らなければいけない部分が広いということは凝縮はしていないですから、しっかりと、できるだけ訓練します。
一般の方は守るものが詰まっている分、そこを守るために逃げる選択も必要だし逃げていいし、どんな手段でもそこに集中して命がけで守ればいい。
だから僕から見れば土台をしっかり持っている一般の方の方が逃げ場もあり、しっかり強く守りを固められる分、本来は強いなと感じるわけなんですよね。(熱)
――なるほど.戦闘者目線というか自衛隊目線というか、国から守る目線スタートでそこまで考えたことなかったですね。うーん、目からうろこというか奥が深すぎます。
(というわけで可視化したくて勝手に図形を作ってみました)
稲川氏
要するに一般の方は自分が守るべきものが何か?ということが明確なので家族や自分、一番大切なものをまず守る。という意識を高めて防犯だったり防災だったりの危機管理に取り組んでいただければ、今自分に何が必要か?がわかりやすくなると思っているわけです。
ーーうわ、そう落としてくるか!めっちゃまとまりましたね!!さすが戦闘者から見える危機管理の考え方は深い。
やっぱりこの人、いい意味で
絶対ヤバイ凄いなと改めて感じさせられます。
そんな感じで、腰が低く考え方が深く武器や色々な見たことのないものがが並びまくる森のような深いベースで深堀りしたインタビューは続きます。いろんな意味で戦闘者深し!!(すみませんちゃんと尊敬してます)
でもここで湧きあがるのが
【では実際に訓練をしない一般人が何をしたら守りが強くなるか?】
という疑問。さすがにちょこっとでもプロにヒントをいただきたい!とうわけで
次回最終回では一般人でもすぐにできる身の守り、ライフハックについてのコツをお伺いしたいと思います。
ヒントは映画映画『RE-BORN』で稲川さんご本人(アビスウォーカー役)が決戦で使用していた、防災にも防犯にも役立ちそうなあの危機管理グッズが登場します。そしてその理由や素人でもすぐに使える簡単な守り技もお伝えしたいと思っています。また戦闘者の休日の楽しみ方などレア情報も少しわかるかも!?
次回もぜひぜひお楽しみに。
戦闘者のヒミツ・オマケ:会話中はガガーン、バシーン!バチバチッ等、実は擬音語の表現が多い稲川氏。その部分を翻訳?すると大人っぽい文章になってしまい伝わらないのが残念ですが、現場ではとても表情も表現も豊かにすごくわかりやすく語ってくださっています。特に自衛隊の話をされるときの思いの熱量はすごいなと感じずにはいられません。カッコ()の部分はほんの少しの熱表現ですがぜひ想像しながら読んでいただければと思います。
取材協力
インタビュー 戦闘者 稲川義貴
零距離戦闘術ゼロレンジコンバット https://www.zerorangecombat.com/
狂武蔵たくちゃんねる https://www.youtube.com/channel/UCEXCEsV_t1X_d4gSirFLgvA
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*インタビュー内容はあくまでも個人の発言を筆者自身の受け取り方で独自に編集したものです。公的機関の見解とは一切関係ないことをご了承ください。