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今夏は本当に猛暑なのか?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
7月27日から8月2日の気温予想。全国的に平年より低い傾向。(気象庁HPより)

梅雨明け早々、記録的な猛暑となった所もあった7月前半。「今夏は猛暑で決まり」といった雰囲気も各メディアで見られます。ところが、ここに来て、暑さの勢いが減速する気配が見えてきました。

7月下旬は戻り梅雨の傾向

来週から7月末にかけて、夏の太平洋高気圧は勢力を弱め、梅雨前線がたびたび本州付近に現れます。まだ梅雨明けしていない北陸や東北あたりにある梅雨前線が南下して、関東以西も梅雨の真っただ中に逆戻し再生するような天気の流れです。局地的な豪雨が発生するリスクも高まります。

さらに、北日本や東日本に、北から涼しい風を送り込むオホーツク海高気圧が現れる兆候も。もし本当に現れると北日本や東日本では気温が低下して、「猛暑はどこへ?」といった声が大きくなってきそうです。

長期予報の精度は?

もちろん、8月になって、また暑さが復活する可能性も十分にあります。

ただ、「8月は猛暑が戻ってきます」と強く言えるほど、長期予報の精度はありません。半月後くらいまでなら、上に書いたようにある程度のことが言えますが、1か月後やそれ以上先のことは、「どちらかと言うと、気温が平年より高く(低く)なる可能性の方が高い」と言えるくらいが現在の技術水準です。

1か月以上先のことを自信満々に言っている人がいたら、まずは疑ってかかったほうが良いと思います。

夏は猛暑と冷夏しかない?

そもそも、「今年は●●な夏」と一言で決めつけるというのは、難しいものです。

ほとんどの場合、猛暑でも不順な天候の時期はありますし、冷夏でも35℃を超える日が続くことがあります。国内最高気温の40.9℃が熊谷と多治見で出た2007年は、7月は冷夏傾向で、8月は猛暑傾向でした。

季節をワンフレーズでまとめられるほど、天気は単純ではありません。そのことを私たちは伝えていく必要がありますし、みなさんにも理解していただければと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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