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「男女は平等である」と思っているのは男性が多い--男女社会参画の現状とは

安藤光展サステナビリティ・コンサルタント
日本は世界トップレベルの男女格差!?(ペイレスイメージズ/アフロ)

■男女共同参画週間がスタートします

あなたは明日23日から「男女共同参画週間」だと知っていましたか?

男女共同参画週間とは、男女共同参画推進本部(内閣府)が、毎年6月23日から29日までの1週間を「男女共同参画週間」として、男女の社会参画について考えよう、という推進キャンペーンです。今年は、勝間和代氏(経済評論家)や山本高史氏(関西大学教授)らが外部審査委員として参加し「男で○、女で○、共同作業で◎。」(「○」の読み方:まる / 「◎」の読み方:にじゅうまる)というキャッチフレーズに決定したそうです。キャッチフレーズなのに記号を入れるなんて読みにくいじゃん…。

さて、最近では政府の「働き方改革」の動きもあり大手企業を中心に、女性活躍推進など男女のギャップを埋める取り組みがどんどん進んでいます。去年から違法労働などで大手企業でもガンガン書類送検をされているからか、ワークライフバランス推進がCSR(企業の社会的責任)の本丸なんじゃないかというくらい普及してきています。

というわけで本記事では、最新の「働き方改革」の動きやワークライフバランスに関する最新動向をまとめます。今回は官公庁や経済団体などの調査を中心としデータや事例をまとめ、気になる数字を紹介します。男女共同参画週間ということで、明日からの話のネタにしていただければ幸いです。

■職場における男女の地位の平等感

職場において男女の地位は平等になっていると思うか聞いたところ、「男性の方が優遇されている」とする者の割合が56.6%(「男性の方が非常に優遇されている」15.1%+「どちらかといえば男性の方が優遇されている」41.5%)、「平等」と答えた者の割合が29.7%、「女性の方が優遇されている」とする者の割合が4.7%(「どちらかといえば女性の方が優遇されている」4.1%+「女性の方が非常に優遇されている」0.6%)となっている。

出典:男女共同参画社会に関する世論調査|内閣府

男女両方に聞いての結果ということですが、やはり就業においては男性有利だと感じる方がまだまだ多いようです。ちなみに「平等(29.7%)」という回答は男性の割合が高いそうで、性別による意識差も根強く残っていることがうかがえます。

■成果目標の動向

成果の一例
成果の一例

第4次男女共同参画基本計画における成果目標の動向|内閣府(PDF、2017年6月9日時点)

「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」は、男女合計7.7%(男:11.7%、女:2.6%)。「男性の育児休業取得率」は、民間企業で2.65%ほど。男性の育児休業はほとんど取れてませんね。

「民間企業の雇用者の各役職段階に占める女性の割合」は、係長相当職18.6%、課長相当職10.3%、部長相当職6.6%です。中堅〜大手企業にお勤めの方であればかなり実感値に近い数字と思われます。

この成果レポートには、このような調査数字がずらっと並んでいます。やはり男女共同参画となると、どこまで働く女性の支援ができるか、という視点が重要になってきます。しかし上記のように「男性の育児休業取得率」など、女性よりも男性ばかりが制度に恵まれているかというと当然そうではない部分も出てきます。そのほかにもたくさん人に関する様々な視点で項目が数値化されています。

■男女共同参画白書

男女の労働者の増加
男女の労働者の増加

男女共同参画白書2017|内閣府

生産年齢人口は減少していますが、平成24〜28年の4年間に全年齢総数の就業者数は170万人増加し、このうち女性が147万人、男性が23万人増加し、女性の就業が拡大。この上昇幅の過半は最近10年間の上昇によるもので、特に最近4年間を見ると5.3%ポイントも上昇しています。

「女性活躍推進法」の施行から丸1年。成果として確実に出ているように見えます。興味深いのは、ここ5年くらい男性の就業率も上がっているということでしょうか。これは企業側の努力もそれなりにあると見えますが「人手不足」の社会的な流れがこの動きを加速させているのかもしれません。

■ワークライフバランス

ステークホルダーの巻き込みが足りないのか?
ステークホルダーの巻き込みが足りないのか?

ワークライフバランスへの取組み状況2016|日本経済団体連合会

「働き方・休み方改革に向けた意識啓発・取組み」という項目で、「顧客・取引先の理解促進」という設問では7.8%という回答でした。私はとても重要な視点と思うのですが、多くの企業ではそうならないみたいです。

ビジネスには必ず「バリューチェーン」(資材調達から販売までのフロー)がありますが、自分たちが休みますと言っても顧客・取引先が稼働していれば対応せざるをえない場面もあると思います。自社のワークライフバンランスを充実させるには、社長の“鶴の一声”も重要ですが、顧客・取引先を含めたバリューチェーン全体で推進しなければなりません。女性活躍推進は社内調整だけで進められることもありますが、労働環境のブラッシュアップとなるとなかなか…。

■さいごに

やや理解が難しいワードが全面に出ている「男女共同参画」ですが、ビジネスパーソンであれば、なんとなくでも男女の働き方の差をご理解いただけたかと思います。

ちなみに、世界経済フォーラム(WEF)による2016年版「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」によれば、日本は調査対象144カ国のうち111位でした。政治、経済、教育、健康という調査4分野で、世界トップクラスの「男女格差がある国」となっています。こんな社会で生活する私たちですが、どうしたらいいのでしょうか。

内閣府が言うように『男性と女性が、職場で、学校で、地域で、家庭で、それぞれの個性と能力を発揮できる「男女共同参画社会」を実現するためには 政府や地方公共団体だけでなく、国民のみなさん一人ひとりの取組が必要です。』というわけでございますので、大きく構えすぎず、仕事場の方はもちろん、家族・パートナー・友人などの半径数メールの方と、それぞれの“生き方”について話をしてみませんか。

答えはすぐにでないと思いますが、様々な方と対話を行うことで、性別を超えて新しい視点などが得られるかもしれません。もちろん、その会話のネタとして、本記事で紹介したデータなどを使っていただければ幸いです。また企業の担当者は「男女共同参画週間」をワークワイフバランスのネタとして、社内報などにお使いくださいませ。

サステナビリティ・コンサルタント

サステナビリティ経営の専門家。一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会/代表理事。法政大学イノベーション・マネジメント研究センター/客員研究員。著書は『未来ビジネス図解 SX&SDGs』『創発型責任経営』ほか多数。国内上場企業を中心に15年以上サステナビリティ経営支援を行い、またテレビ、新聞、週刊誌、ニュースメディア等でも解説を多数担当。

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