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湿度が高い季節の食中毒リスクとその対策

TOUYA化学系研究者

 食中毒には細菌性、ウイルス性、化学物質や自然毒によるものがあります。多くの細菌は湿気を好み、20度から50度で増殖が活発になるため、梅雨のような湿度が高く気温も上昇する時期は、細菌による食中毒のリスクが特に高くなります。食中毒を防ぐには、食品の取り扱いに特に注意が必要です。

 細菌は、2分裂を繰り返して倍々に増えていきます。例えば、大腸菌は増殖に最適な条件が整うと約20分で分裂するので、1個の細菌が20分で2個、40分で4個、1時間で8個、2時間で64個、3時間で512個・・・10時間で10億個以上になります。

家庭でできる予防方法

食品の購入

・生鮮食品は新鮮なものを選び、消費期限を確認して購入する。

・購入した食品はビニール袋に入れ、肉汁や水分が漏れないようにする。

・冷蔵や冷凍が必要な食品は買い物の最後に購入し、早めに帰宅する。

・エコバッグは清潔に保ち、定期的に洗濯する。

保存

・持ち帰った冷蔵・冷凍が必要な食品は直ちに冷蔵庫や冷凍庫に入れ、詰めすぎないように気を付ける。

・冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は-15度以下を保ち、定期的に温度をチェックする。

・肉や魚はビニール袋や容器に入れて他の食品に肉汁等が触れないようにする。

・肉、魚、卵を扱う前後には手を洗って細菌の汚染を防ぐ。

・流し台の下に食品を保存する場合は水漏れに注意する。

準備

・キッチンの清潔状態を確認し、清掃と整理整頓を行なう。

・生肉や魚を扱った後は、すぐに手を洗い、使用した調理器具は洗浄後に熱湯をかけて消毒する。

・できれば肉、魚、野菜専用の包丁やまな板をそれぞれ用意し、分けて使用する。

・冷凍食品は冷蔵庫内や電子レンジで解凍し、解凍した食品の再冷凍は避ける。

・台所用具は使用後に直ちに洗い、必要に応じて消毒する。。

調理

・タオルやふきんを新しいものに交換し、手を洗う。

・細菌は一般的に熱に弱いので、中心部を75度で1分以上を目安に十分火を通す。

・中断した調理は、冷蔵庫で保存し、再加熱時にはしっかりと温め直す。

・電子レンジ使用時には適切な容器を使い、熱の伝わりにくい物は、均等に熱が通るように時々かき混ぜる。

食事

・食事の前には必ず手を洗い、食品は清潔な手と器具で取り扱う。

・食品を室温で長時間放置しない。

・特にリスクが高い乳幼児やお年寄りには十分加熱した食品を提供する。

・残った食品は適切に保存し、疑わしい場合は廃棄し、再加熱時は75度以上でしっかりと加熱する。

(参考:厚生労働省 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント

まとめ:湿度が高い季節の食中毒リスクとその対策

 これらの対策を徹底することで、梅雨時における食中毒のリスクを減らすことができます。食中毒は予防が可能ですが、万が一の症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。化学に関連する記事を書いています。

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