渋谷凪咲が見据える目的地と、流した涙の理由
他に類を見ないワードセンスと卓越したお笑い能力でアイドルの枠を超えた存在感を見せてきた渋谷凪咲さん(27)。昨年12月にアイドルグループ「NMB48」を卒業し、新境地に歩みを進めています。19日には初主演映画「あのコはだぁれ?」(清水崇監督)も公開。個人として活動する中で感じる葛藤、そして流した涙の理由とは。
はるか遠くの目的地
自分も知らない自分を知る。それがグループを卒業する大きな目標でした。なので、今回映画に主演させていただくという大きなことがあって、まさにそのど真ん中を経験させてもらいました。
グループにいた時とは違う感覚も出てきてますし、それこそ今までは気づかなかった自分とも向き合っています。
一人になって改めて感じているのは、自分は空気にのまれやすい人間だということです。すごく緊張もしますし、すごく動揺もします。
「あんまり、そうは見えない」と言われることもあるんですけど(笑)、明石家さんまさんや「ダウンタウン」さんがいらっしゃるとなると、もうそれだけで緊張しますし、なんでしょうね、緊張感で自分のペースじゃなくなってしまうんです。
ありがたいことに、いろいろとお仕事をさせてもらうようになっても、そこだけは本当にいちいち緊張するんです。仕方ないのかもしれませんけど、とにかく「自分のペースを保つ」ということは常に意識しています。
私が女性としてあこがれている存在が、綾瀬はるかさんなんです。テレビとか映画とか、綾瀬さんの表に出ている部分しか私は知らないんですけど、綾瀬さんがいらっしゃるだけで、綾瀬さんの空気ができあがっている。それを感じるんです。
あのかわいらしさ、お茶目さ、きれいさ、カッコ良さ、和やかさ。それがその場にいる人を包み込むんですけど、綾瀬さん自身はそうしようとしているわけではないと思うんです。自然とそうなる。
こんな存在感なんて、すぐ出るものではないと思いますし、きっといろいろなことを経験されて乗り越えてきたからこそのものなんだと思います。
どうやったらそこまで行けるのか。どんな道を進んだらいいのか。それもまだ分からないくらい遠くにあるところかもしれませんけど、いつか行きたい。その思いだけは持っています。
涙の理由
何をどうしたらいいのか。どんなことを積み重ねていったらいいのか。それを今まさに考えている最中なんです。
私は緊張もするし、バラエティーでも「こんなことを言ったら、こう思われるんじゃないか」みたいなこともすごく気にするんです。自分で言うのもおかしいんですけど、空気を読みすぎてしまうというか。
でも、自分が思ったことを自分が思ったタイミングで言う。その言葉にはやっぱり力があると思っていて。それがどんどんできるようになりたいんですけど、そのためには、もっと、もっと、自分が成長しないとダメだと感じています。
グループから卒業して一人の演者として過ごす中で、まだ今は「NMB48」みたいな“幹”が作れていないのかなとも思っています。ただ、ずっとあった幹がなくなることは分かった上で外に出たわけですから、失敗しながらでも、自信を持てる新しい“幹”を作らないといけないなと。
要らんことを考えず、できることをやる。お仕事があるということは、どなたかが私を呼んでくださっているということ。だから、最低限の自信は持ってもいいのかもしれませんけどね。
…なんでしょうね、本当に、今、いろいろ考えているところなので、自分の中でも絡まっているのかもしれませんね。たくさん考えているから、いざそこを尋ねられると思いがあふれるというか…。なんか、泣けてきちゃいました…。いきなり泣いたらびっくりしますよね(笑)。ごめんなさい。
ただ、それだけ今私が本当に考えていることだとも思いますし、すぐに答えは出ないかもしれませんけど、いつか思っているところにたどり着く。そうなるように、積み重ねていきたいと思っています。
(撮影・中西正男)
■渋谷凪咲(しぶや・なぎさ)
1996年8月25日生まれ。大阪府出身。Showtitle所属。2012年、アイドルグループ「NMB48」4期生オーディションに合格。卓越した笑いのセンスが注目され、多くのバラエティー番組でも活躍。昨年12月「NMB48」を卒業。読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」、関西テレビ「かまいたちの机上の空論城」「よ〜いドン!」、日本テレビ「DayDay.」などに出演中。初主演を務める映画「あのコはだぁれ?」(清水崇監督)が7月19日に公開される。