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【目黒区】陸育ちのエビがハネル!? 「サカナバッカ中目黒」で福島県葛尾村の絶品生エビを先行発売

Chikuwa地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)
サカナバッカ中目黒

目黒区内で中目黒と都立大学に2店舗を展開する「サカナバッカ」。獲れたての旬のお魚を販売するお魚屋さんとして地元では親しまれています。

見た目は洗練されたおしゃれな店構えですが、お魚の下処理はもちろん、おいしい食べ方なども伝授。提供しているサービスはまさに地元に根付く「町のお魚屋さん」といったところでしょうか。

定期的に「ふくしま常磐(じょうばん)ものフェア」を開催し、福島県の水産業を応援

「サカナバッカ」は飲食店向けの生鮮品EC「魚ポチ(うおぽち)」をメインに展開している株式会社フーディソンが運営しています。

フーディソンでは、2019年10月より福島県から事業を受託し、福島県の魚を販売する「ふくしま常磐(じょうばん)ものフェア」を開催。フェア期間外も継続的に福島県で水揚げされた鮮魚を仕入れ、販売しています。

「常磐もの」と呼ばれる福島で水揚げされた魚
「常磐もの」と呼ばれる福島で水揚げされた魚

また、2021年からは東京電力ホールディングス株式会社と連携し、福島県の水産品に対する風評を払拭するべく、「発見!ふくしまフェア」を2024年6月7日(金)~13日(木)で開催

(画像提供:株式会社フーディソン)
(画像提供:株式会社フーディソン)

10回目となった「発見!ふくしまフェア」では、福島県葛尾村(かつらおむら)で陸上養殖した生エビ(バナメイエビ)を先行販売しました。

福島県葛尾村でエビの陸上養殖を2022年からスタートさせた株式会社HANERU葛尾

福島県にある葛尾村とは「相双(そうそう)」地区と呼ばれる福島県の浜通り、双葉郡にあります。海岸沿いにある浪江町から「三春の滝桜」でおなじみの三春町のちょうど中間ぐらい。

のどかな里山の風景が広がる葛尾村で、バナメイ松延紀至(まつのぶ のりゆき)さんとお会いできた

エビの陸上養殖を手掛けるのが株式会社HANERU葛尾です。

HANERU葛尾の代表取締役社長・松延紀至(まつのぶ のりゆき)さん
HANERU葛尾の代表取締役社長・松延紀至(まつのぶ のりゆき)さん

ちょうど6月7日(金)、「サカナバッカ中目黒」でHANERU葛尾の代表取締役社長・松延紀至(まつのぶ のりゆき)さんとお会いできたのでお話をうかがいました。

福島県葛尾村は全村避難が2022年6月に解除されたばかり

葛尾村は東日本大震災が起きる前までは、人口1304人・490世帯(2023年3月現在)ののどかな農山村(引用元:葛尾村ホームページより)でした。しかし、原発事故の際、風向きの関係で放射能が村を襲い、全村避難に。

その後、全地区の避難指示が解除されたのはなんと2022年6月のこと。まさに葛尾村では復興が始まったばかりといっても過言ではありません。

避難指示が解除された後に帰還した住民はわずか326人ほど。村に帰ってきても働く場所がなければ生活はできません。

株式会社HANERU葛尾の代表取締役社長・松延紀至(まつのぶ のりゆき)さんが葛尾村を訪問したのは、全村避難指示が解除される前年の2021年3月のことだったそうです。

エビの陸上養殖を成功させて、村に活気を取り戻したい!

株式会社HANERU葛尾のエビ養殖場(画像提供:株式会社フーディソン)
株式会社HANERU葛尾のエビ養殖場(画像提供:株式会社フーディソン)

松延社長が上下水の大手コンサルタント会社に勤めていた際、「水産業で被災地の復興支援はできないか」と候補地を探していた時に出会ったのが葛尾村でした。
東日本大震災から11年を経ても今なお復興途中だった葛尾村の現状に驚かれそうです。

美しい自然や山々に囲まれた葛尾村に出会い、「私の得意な上下水道事業のノウハウを活かして、村の復興に貢献したい。」と強く想ったと松延社長
寒冷な山間地域で、陸上養殖の事業化が成功できれば、全国の過疎地における新産業創出と雇用の創出につながることにもなります。

そこで、葛尾村でバナメイエビの大規模陸上養殖事業を2022年からスタート。さまざまな苦難を乗り越えつつ、安定して出荷できるところまでこぎつけた、というわけです。

国産が少なく、成長が早いバナメイエビを選択

バナメイエビ(画像提供:株式会社フーディソン)
バナメイエビ(画像提供:株式会社フーディソン)

「バナメイエビ」はクルマエビ科の一種であり、身が柔らかく甘みが強いのが特徴です。病気への耐性も強く、淡水に近い水質でも育ち、水中を泳ぐように生活します。

養殖期間は3~4ヶ月で面積当たりの養殖量もある程度確保できるとのこと。

スーパーなどでよく見かける「ブラックタイガー」というエビも一般的ですが、水底を這うように生活するため、面積当たりの養殖量に限界があること、養殖期間が約半年かかるのが難点なのだそうです。

このためHANERU葛尾では、天候などに左右されず、年間を通じて安定供給が見込めることから「バナメイエビ」を選択したそうです。

また、国内で消費されている「バナメイエビ」は9割以上が輸入品なのだとか。食料自給率アップと国内の安全・安心な食材としてニーズが高いと判断した松延社長。

さらに福島県で「バナイエビ」の漁獲高はほぼ皆無であり、地元漁業関係者との競合も少ないということも選択した理由の一つでした。

失敗を繰り返しながら、海のない葛尾村でバナメイエビの養殖に成功

「バナメイエビ」は淡水に近い水質でも育つとはいえ、養殖には海水が欠かせません。当初は人工海水調整に失敗し、何度もエビの稚魚を全滅させるなど苦労を重ねてきました。

約1年がかりでエビの養殖を成功させ、出荷にこぎつけたという松延社長。2024年に国内最大級の陸上「エビ養殖場」を完成させて全国へおいしいエビを届けていく準備がまさに整ったばかり、というわけです。

「発見!ふくしまフェア」で先行発売された葛尾村のバナメイエビは絶品

「発見!ふくしまフェア」では、この葛尾村のバナメイエビと「常磐もの」のヒラメを使った「ふくしま海山丼」を発売しました。

私もさっそく購入し、食べましたが今まで食べた生エビとは全く違う、味と食感にびっくり。
口の中でとろけるようなエビのうま味と甘味、プリっとした食感でまさに口の中で「ハネル」ようです。

また、親潮と黒潮が混ざり合う豊かな海で育った「常磐もの」のヒラメは、歯ごたえもあって淡泊ながらも味わい深いおいしさでした。

ご飯は赤酢を使ったパンチのある酢飯でこちらとの相性も抜群。海のヒラメと山のバナメイエビが織りなすハーモニーを満喫させていただきました。

風評の逆風にさらされている「常磐もの」の魚

株式会社フーディソン提供(参照元:福島県ホームページより)
株式会社フーディソン提供(参照元:福島県ホームページより)

福島県沖でとれる魚は「常磐(じょうばん)もの」と呼ばれ、親潮(冷たい海流)と黒潮(暖かい海流)がぶつかり合う豊かな漁場として知られています。
黒潮に乗って北上してきた魚たちは、親潮で発生したプランクトンを食べて大きく育ちます。

福島の港では1年を通してたくさんのおいしい魚が水揚げされており、震災前には国内でも有数の出荷量を誇ってきました(参照元:福島県ホームページより)。

しかし、2021年3月に起きた東日本大震災及び東京電力福島第一原発事故によって、大打撃を負うことに。風評や担い手不足等によりいまだ震災前の水揚げ量に戻っていません。

また、ALPS​処理水を海洋放出されたことにより、一層の風評対策が求められています。

福島県沖で水揚げされた魚は放射性物質検査を魚種ごとにチェックされてから出荷。また、海水中のトリチウムも環境省で定期的にモニタリングされており、自然界に存在するトリチウムよりもはるかに少ないレベルです。

安全性が確認されている上で流通している福島のお魚は、むしろ安心して食卓に並べられるといえますね。

「サカナバッカ」では福島県の水産物や新しい特産品の販売促進を積極的に展開。フェア以外にも、福島県の水産振興による地域活性化を応援しています。

単身世帯や2人暮らしなどでは、魚まるごと1匹はなかなか手が出ませんが、切り身やお刺身などでも販売。

スーパーなどと変わらない便利さで、しかも捌きたてのおいしいお魚が食べられるので嬉しいですね。

また定期的に「まぐろの解体・即売会」も開催。目の前で大きなマグロを豪快にさばいて、希少な部位も販売するそうです。

都内ではあまり見かけない魚種や高鮮度の魚をラインナップする「サカナバッカ」ぜひお近くの店舗に足を運んでみてくださいね。

■取材協力

株式会社フーディソン株式会社HANERU葛尾

【店舗概要】
サカナバッカ 中目黒
営業時間:10時~19時
住所:東京都目黒区上目黒2-21-4
問合せ先:03-6712-2121

サカナバッカ 都立大学
営業時間:平日・土曜 10時~20時/日曜・祝日 10時~19時
住所:東京都目黒区中根2-13-1
問合せ先:03-6421-3785

地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)

コピーライターからWebライターへ転身。アロマセラピスト・整体師としても時々活動しています。趣味はカンフー(八卦掌・長拳)と古代史(関裕二先生のファン)。目黒区の魅力やおもしろいところを発信していきます。取り上げて欲しい目黒の穴場や情報もぜひお寄せください!

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