窪田が圧倒のタイムで100メートル背泳ぎS8の日本記録を更新
「パリに向けて新しい世代が定着してきた。なかでもS8の背泳ぎ、窪田はランキングトップの力をしっかりと見せてくれた。パリにむけて有力」と、上垣匠パラ水泳日本代表ヘッドコーチは3月5日、静岡での選考会・春季チャレンジレースの総括で窪田幸太(NTTファイナンス)を高く評価した。
昨年6月、ライバルの荻原虎太郎(セントラルスポーツ)が考案した泳ぎ方(バタフライのキックを背泳ぎに)を取りいれた窪田は、それを極めて100メートル背泳ぎS8を自己ベストより2秒近く速い01:05.56で泳ぎ3月4日、日本新を樹立した。
「ベストは出せると思っていたが5秒台が出るとは思っていなかった。後半での持久力をつける練習をし、いい感覚で泳げました」と窪田は話した。
4月から社会人となり環境が変化した中で、会社の応援が力となり集中した練習ができているようだ。
荻原虎太郎も200メートル個人メドレーS8で自己ベスト!
一方、荻原は窪田の背泳ぎのタイムに動揺が収まらず、派遣標準(01:10.91)をクリアしていたが3秒も自己ベスト(01:07.26)から落とし「こんなタイムでは(派遣標準を)切ってないようなもの」と、沈みきっていた。翌日まで気持ちの落ち込みが続いていたというが、レースではその影響をみせなかった。
大会終盤の種目となる200メートル個人メドレーS8で荻原は自己ベストを更新(02:31.64)し、堂々の日本代表入りを果たした。
世界選手権での目標を聞かれた荻原は、
「世界に勝ちたいっていうより、昨日置いてかれた窪田選手に追いつきたい。世界選手権では窪田選手にくらいついて、何かしら、一つだけでも勝ちたい。窪田選手がいるから、自分がもっと後ろから追いかけなきゃと思う。今まではいろんな種目で窪田選手の前にいましたが、いつの間にか追いかける側になっていた」と話し、ライバルとの競争へ思いを募らせていた。
(写真・秋冨哲生 校正・地主光太郎、そうとめよしえ この記事はPARAPHOTOに掲載されたものと同じ内容です)