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スポーツ用品企業が取り組む“若手育成” トッププロも意外に学ぶ機会が少なかった身体作りの基礎知識

内田暁フリーランスライター
トレーニングイベント参加者たちにアドバイスを与える内山靖崇選手

 アディダス契約のプロテニス選手たちが、高校生を中心としたジュニア選手達に、日頃行なっているトレーニングを伝授するという“アディダステニスチャレンジ”が都内で行われました。このイベントは来年以降継続的に全国各地で開催される予定で、今回行なわれたのは、そのキックオフ的な第1回目。トレーニングに特化した内容となりましたが、今後はクールダウンや身体のケア、さらには食事や栄養学の重要性も伝えていくビジョンを持っていると言います。

 そのスタートラインとなる今回のイベントの特徴は、トレーニングプログラムの“ガチさ”にあるでしょう。カリキュラムを組んだ増田健太郎コーチが「吐くまでやらせますよ」と冗談交じりで言うほどの真剣度。限られた時間の中で打ち出したテーマは“フットワークの向上”で、“鬼教官”役をつとめたのは内山靖崇、添田豪、穂積絵莉、吉富愛子の4選手。切り返しや短距離走などのアジリティ系トレーニングや、球出しなどの基礎練習を多く含んだ内容となりました。

 日頃テニスクラブやプライベートコーチのレッスンを受けている少年・少女たちが、トレーニングやクールダウンの知識に触れ、意識を植え付けられる機会は、実は意外と少ないのではないでしょうか? 北海道出身の内山選手が、それらの存在と接したのは「小学5年生の時に、修造チャレンジ(元トッププロの松岡修造氏が立ち上げた若手育成・人材発掘のための合宿)に参加した時」だったと回想します。それまでほとんどやったことのなかった短距離走や切り返し、腕立てや腹筋などのトレーニングで、周囲の人たちに大きく遅れを取った少年時代のホロ苦い思い出。

「これは、合宿についていけないぞ。次までに自分でやっていかないと」

 そう肌身で実感した彼は、北海道に戻った後も合宿で習ったトレーニングやクールダウンを、「見よう見まね」で実践したと言います。

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 今回の“アディダステニスチャレンジ”は、コートの両サイドを全速力で往復しながら、サイドラインに置かれたラケットにボールを置くトレーニングで締めくくり。約3時間に及ぶ全カリキュラムが終了した時、肩で息する参加者たちを前にした内山選手は「きっと最後のトレーニングのイメージが今は強いと思います。僕もやりました。今のみんなと同じ顔をしてやってきたことで、今僕はここに立っています」と、自身の経験も含めたエールを送ります。

 少年時代に、世界を知る人々との触れ合いからプロへの道を歩み始めた彼は「今回の経験を持ち帰った人達が、自分だけでなく、周囲の人たちにも広げてもらえれば」との願いを口にしました。

テニス専門誌『スマッシュ』のfacebookから転載

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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