ノート(120) 裁判で証拠とすることに同意しなかった関係者の供述調書とは
~整理編(30)
勾留111日目
同意と不同意
この日は全国的に平年気温を大きく下回る寒さとなった「成人の日」だった。年末年始以来、初めての祝日だ。
「国民の祝日に関する法律」によれば、大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い、励ます日だとされている。大人と子どもの境界線をどこに引くべきかは問題だが、例年、全国の少年院では、20歳になった新成人を対象に、厳かな成人式が行われている。スーツやブレザー姿で登壇し、保護者らの前で更生を誓うというものだ。
しかし、拘置所では収容されている少年の数が圧倒的に少ないうえ、改善更生を目的とした施設でもないことから、こうしたイベントは行われていない。いつもの祝日と同じく、昼食に市販のお菓子が支給される程度で、静かな一日だった。
ところで、1月7日付けで裁判所や検察庁に提出した書面のうち、検察側の請求証拠に対する弁護側の意見は、次のとおりだった。まず、「乙号証」については、戸籍謄本と僕がサインした供述調書であり、すべて同意した。
一方、「甲号証」については、だれのどのような内容の供述調書なのかによって、意見を分けた。
関係者の供述調書には納得できないが、起訴事実を争わず、裁判を長引かせたくない場合、証人尋問を避ける必要がある。一部を不同意にするにせよ、証人尋問が実施されない程度の同意は要する。そのさじ加減が難しい。
結局、裁判で証拠とすることに同意しなかった関係者の供述調書は、次のとおりだった。
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