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全仏オープンテニス:穂積/二宮が日本人ペア 16年ぶりの全仏ベスト8! 経験と策で第5シードを撃破

内田暁フリーランスライター

 殊勲の星を手にしたその瞬間は、相手のダブルフォールトという、ややあっけない形で訪れました。

 しかし試合内容を仔細に見ていけば、それも必然だったかもしれません。

「今日は最初から最後まで2人で良いプレーができたので、終わってみればこのスコアも納得」

 別段気負うふうもなく、穂積はさらりと言います。

 穂積絵莉/二宮真琴が3回戦で、第5シードのダブロウスキー/シュ・イファン組に6-1、6-2 で圧倒。全仏オープンベスト8へと勝ち進みました。

 相手はいずれもダブルスの名手ではありますが、穂積と二宮にしてみれば、お互いパートナーは違えども、対戦経験のある相手。「ダブロウスキーはフォアが弱い」との共通認識を抱き、さらには「ロブをどんどん使っていこう」との策を携えコートに入っていました。

 その策が的中し、最初に崩れたのがダブロウスキー。ミスを重ね苛立つ相手が遮二無二前に出てくれば、二宮が狙いすましたロブを決める。するとシュもロブで対抗してくるが、それは向こうのテニスではない。慣れぬ動きで生まれた相手陣形の穴を、後方から自慢のストロークで打ち抜く穂積。糸でつながれたように抜群の連携を見せる2人は、第5シードに反撃の機を与えず勝利まで走り切りました。

 全仏での日本人ペアベスト8は、杉山/藤原以来16年ぶり。しかしそれぞれ既にベスト4の実績を持つ2人にしてみれば、当然、ここはゴールにはなり得ません。穂積は、昨年の全豪ベスト4で「グランドスラムでも上に行ける」との自信を深め、二宮はフェドカップでの活躍により「上の舞台でも挑戦できる」との強い意志を獲得しました。

 13歳で出会い、時にパートナーとして、時にはライバルとして互いを意識し力をつけてきた24歳の2人は今、「決勝に行きたいよね」「でも決勝まで行ったら勝ちたい!」と、同じ高みに視線を重ねています。

※テニス専門誌『スマッシュ』のFacebookより転載

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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