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部数トップの「ちゃお」は17.5万部…少女向けコミック誌の部数動向(2022年1~3月)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
コミック誌は男子向けだけでなく女子向けのものも人気だが(写真:アフロ)

部数は「ちゃお」がトップ

日々進歩する技術、中でもインターネットとスマートフォンをはじめとしたコミュニケーションツールの普及に伴い、紙媒体は立ち位置の変化を余儀なくされている。すき間時間を埋めるために使われていた雑誌は大きな影響を受けた媒体の一つで、市場・業界は大変動のさなかにある。その変化は少年・男性向けコミック誌ばかりでなく、少女・女性向けのコミック誌にもおよんでいる。今回はその雑誌のうち、少女向けコミック誌(少女向けのコンセプトで発刊されているコミック雑誌。おおよそ未成年でも高校生ぐらいまでが対象)について、日本雑誌協会が四半期ベースで発表している印刷証明付き部数(※)から、実情を確認する。

まずは少女向けコミック誌の現状。最新データは2022年1~3月分。

↑ 印刷証明付き部数(少女向けコミック誌、万部)(2021年10~12月期と2022年1~3月期)
↑ 印刷証明付き部数(少女向けコミック誌、万部)(2021年10~12月期と2022年1~3月期)

少女向けコミック誌ではトップは「ちゃお」。第2位の「りぼん」に4万部強もの差をつけており、少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」的な群を抜く部数の多さ。この圧倒的差異をつけた状況は、現在データが取得可能な2008年4~6月期の値以降継続している。数々の魅力的な付録も、同誌をトップの座に位置し続けさせている大きな要因となっているようだ。

第2位は「りぼん」、第3位は「花とゆめ」。そしてその後に「LaLa」「別冊マーガレット」「なかよし」「Sho-Comi」が続いている。部数動向としては「ちゃお」が前期比で増えているのが見て取れる。

プラスは1誌のみ…四半期変移

次に前期と直近期との部数比較を行う。雑誌は季節で販売動向に影響を受けやすいため、精密さにはやや欠けるが、大まかに雑誌推移を知ることはできる。

↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前期比)(2022年1~3月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前期比)(2022年1~3月期)

プラス誌は「ちゃお」のみで誤差領域(上下幅5.0%以内)内の上げ幅にとどまっている。「りぼん」がプラスマイナスゼロ。それ以外はすべてマイナスで、誤差領域を超えた下げ幅は6誌。前期比で1割以上の下げも2誌確認できる。

少女向けコミック誌で部数トップの「ちゃお」は、今期では少女向けコミック誌において前期比で唯一のプラスを示している。

↑ 印刷証明付き部数(ちゃお、部)
↑ 印刷証明付き部数(ちゃお、部)

該当期間に発売されたのは2誌。それぞれ読者層に合わせた魅力的な付録(バニティケース、スマートちっくウォッチ)が高評価を受けている。連載陣にもファンは多く、部数が堅調なのも分かるというもの。

一方で中長期的に見れば部数は漸減中であることもまた事実。5期前に一時的に部数が回復の動きを見せたものの、すぐに失速してしまったのは残念。少女向けコミック誌での部数トップの威厳を維持してほしいものだ。

「別冊フレンド」は大幅なマイナス。

↑ 印刷証明付き部数(別冊フレンド、部)
↑ 印刷証明付き部数(別冊フレンド、部)

「別冊フレンド」は講談社発行の月刊コミック誌で、1965年に「週刊少女フレンド」の姉妹誌のポジションとして「別冊少女フレンド」との名前で創刊、1984年に現在の「別冊フレンド」に改名した。前期比で大きなマイナスが生じたのは、前期の跳ね上がり的な部数増加の反動によるもの。前期の部数大幅増加の原因は不明だが、一時的なものでしかなかったようだ。

全誌マイナス…前年同期比

続いて前年同期比による動向。年ベースの変移となることから大雑把な状況把握となるが、季節による影響を考慮しなくて済むので、より確かな精査が可能となる。

↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前年同期比)(2022年1~3月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前年同期比)(2022年1~3月期)

少女向けコミック誌は前年同期比で全誌マイナス、しかも「りぼん」以外はすべて誤差領域を超えるどころか1割を超えた下げ幅を示している。いずれも掲載作品に何か大きな動きがあったわけではなく、本質的な不調にあると解釈できる。

少女向けコミック誌全体において、起死回生の策が必要な時期に来ていることには違いない。新型コロナウイルスの流行が部数減少傾向に拍車をかけた可能性は否定できないが、それを裏付けるものは無い。

他方、多くの雑誌で電子化が行われており、電子版に読者の一部を奪われ、結果として紙媒体としての印刷部数が減少している可能性はある。あるいは単に、需要に合わせた部数の削減なのか。

しかしながら他の雑誌同様、電子版の部数は非公開のため、その推測の検証ができないのは残念な話に違いない。

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※印刷証明付き部数

該当四半期に発刊された雑誌の、1号あたりの平均印刷部数。「この部数だけ確かに刷りました」といった印刷証明付きのものであり、雑誌社側の公称部数や公表販売部数ではない。売れ残り、返本されたものも含む。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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