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教師も危ないからLINEを使わないように!?

森井昌克神戸大学 名誉教授
教師と生徒

埼玉県内で昨年、県立高校の男性教諭による教え子へのわいせつ行為が相次いだことを受け、県教育委員会が昨年12月、各県立高に「LINE(ライン)」などスマートフォン向け無料通信アプリによる生徒らとの私的連絡の禁止を通知していたことが13日、分かった。年明けに教職員に配布した冊子では「28歳で停職6カ月なら生涯賃金が550万円減る」などと懲戒処分の実例まで示し、犯罪の抑止効果を狙っている。

出典:生徒とのLINE連絡「禁止」 埼玉、県立高教諭に通知【産経新聞】

とうとうここまで来ましたか。教諭が生徒と私的な理由で連絡を取り合う事はLINEだけにとどまらず、禁止である事は当然であり、これを少なくとも研修中ではなく、現役の教職員に通達、注意する事自体、嘆かわしい限りです。しかし、私的ではなく公的な連絡でさえ、LINEを禁止するのはどうでしょうか。記事では、「公的な連絡は管理職の事前許可制」ということで、全面禁止ではないようですが、弾力的な運用でなければ支障が出ることでしょう。

また、学校内だけの問題ではありません。もともとこの問題はLINEとはほとんど無関係であって、生徒との私的な接触を行う事が問題であり、またそれ以上に非常識、反社会的な行為を行う事が問題なのです。確かにLINE等のSNS,そしてそれの基盤でもあるスマホやインターネットによって、いつでもどこでも簡単に人とのコミュニケーションが容易に取れるようになりました。学校内の問題はLINEを禁止する事によって幾分減少するかもしれません。しかし学校外ではLINEを使ってほとんど同じような問題を起こす事になるでしょう、LINEを全面的に禁止しなければ。

LINE等のSNSは事実上広く浸透しており、スマホや携帯を持っている高校生のほぼ全員といって良いぐらい利用しています。緊急の連絡や広報の 意味での連絡では最適な情報通信手段であり、情報共有を行うための有効な道具でもあります。LINEを使う事と生徒と私的な関係を持つ事とはまっ たく別です。幼児に対してではなく、教師にまで「ナイフの類は危ないから使用禁止」というのではあまりにも情けなくはないでしょうか。

参考愛子様に失礼ではないか!やはり小中学生のSNS規制に賛成すべき?【Yahooニュース!個人】

神戸大学 名誉教授

1989年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程通信工学専攻修了、工学博士。同年、京都工繊大助手、愛媛大助教授を経て、1995年徳島大工学部教授、2005年神戸大学大学院工学研究科教授(~2024年)。近畿大学情報学研究所サイバーセキュリティ部門部門長、客員教授。情報セキュリティ大学院大学客員教授。情報通信工学、特にサイバーセキュリティ、情報理論、暗号理論等の研究、教育に従事。内閣府等各種政府系委員会の座長、委員を歴任。2018年情報化促進貢献個人表彰経済産業大臣賞受賞。 2019年総務省情報通信功績賞受賞。2020年情報セキュリティ文化賞受賞。2024年総務大臣表彰。電子情報通信学会フェロー。

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