サウジに激戦勝利 韓国代表クリンスマン監督「だから日本とやりたかった」 ついに「避けた説」払拭か!?
韓国国内でもはっきり言って「負けたほうが盛り上がっただろう」という面はある。負けてユルゲン・クリンスマン監督解任論を焚き付けたほうが、わかりやすかった。ここまで批判していたのに、急に手のひらを返すように大喜びできない。そういったところだ。
現地時間30日にカタールアジアカップの決勝トーナメントを戦った韓国。サウジアラビアに先制を許したものの99分に同点ゴール。PK戦ではGKチョ・ヒョヌが2本をストップしての大逆転勝ちを収めた。
ただ韓国としては、この先に波に乗れそうな勝ち方ではあっった。
FWチョ・キュソンの活躍は「ここしかない」ものだった
99分に同点ゴールを決めたFWチョ・キュソン(FCミッティラン/デンマーク)はここまで大会ノーゴールだった。ファンからは「もう代表をやめろ」と猛批判を受けていた選手。彼がゴールを決めたのは大きい。
チョはカタールW杯では大会2戦目のガーナ戦で、大会でのチーム初ゴールと2つめのゴールを記録した。試合は2-3で敗れたものの、結果的にはチームの無得点状態を打ち破った点は大きかった。チームはその後、難敵ポルトガル相手に2-1の勝利。総得点数差でウルグアイを上回り、3大会ぶりのベスト16入りを決めたのだった。
そんなチョが復活するなら、この試合しかないようにも見えた。彼は2023年9月12日、イングランドのニューキャッスルでのサウジアラビア戦でもゴールを決めていたからだ。それも1-0の勝利の決勝ゴール。何より、これはユルゲン・クリンスマン監督にとって韓国代表就任後6試合目にしての初勝利だった。
サウジはチョにとって「いい印象のある相手」だった。30日深夜の対戦では、スタメンを外れたが64 分に投入され劇的な同点ゴール。クリンスマン監督の采配も的中、というかたちになった。この後、はずみがつきそうな勝ち方ではある。
クリンスマン自ら「日本に言及」
30日の試合内容に関しては相変わらず韓国内では「戦術不在」が囁かれている。それでもクリンスマン監督の態度は変わらない。グループリーグ最終節のマレーシア戦に引き分けた後のように、また28日の会見で韓国メディア陣に「決勝戦まで現地ホテルの予約を延長して」と豪語したように、「余裕しゃくしゃく」。
サウジアラビア戦後の会見では記者団からこんな質問が飛び出した。
――次の8強の相手オーストラリアより、韓国は休息日が一日短い。さらに今日は強度の高い試合を行った。オーストラリアはフィジカルが強いチームだが、どのように準備するのか。
確かにオーストラリアは現地時間29日に決勝トーナメント1回戦を戦い、韓国は現地時間30日に戦った。両国による準々決勝は2月3日に行われる。クリンスマン監督の答えはこうだった。
「より多くの休息日を望んでいたので、(予選リーグでは)グループ1位を目指した。多くの人が(1位なら31日に対戦していた)日本を避けたがっているという話をしているがが、そうではない。今日120分の熱戦の末、PK戦まで行ったが、チームの雰囲気が良くなり、次の試合にもっと多くのエネルギーを注げると思う。実際には試合が早く終わることを望んでいたが、とにかく今日の勝利が次の試合までのポジティブな雰囲気を持続させてほしい。オーストラリアはかなり良いチームだが、次の試合の準備をしっかりして、良い結果を出すよう努める」
120分の死闘。身をもってようやく「日本を避けた説=わざとマレーシアに引き分けた説」の払拭に成功したか?
ちなみに細かい記録だが、韓国―サウジアラビア相手には通算成績を6勝8分5敗とした。さらに同国相手のPK戦といえば、36年前の1988年カタール大会での決勝ではPK負けを喫しており、この雪辱も果たす形にとなった。
現在「64年アジアカップ優勝なし」という状態になっている韓国だが、このPK負けは日本との因縁でも口惜しいものになっている。
その次の1992年大会(広島)では、予選にB代表(学生選抜)を送り、タイに敗北。本大会出場を逃した。この大会では言うまでもなく三浦知良、ラモス瑠偉らに率いられた日本が優勝。一気にアジアの中で頭角を現した。せめてその前の大会で優勝していれば「アジアでの存在感」はもう少しは示せていたはずだったのだ。
チョ・キュソンの活躍とサウジとの因縁の払拭。この後、韓国は勢いに乗るか? 韓国で叩かれまくりのクリンスマン。その余裕っぷりの態度の裏には何か企みがある? はたまた何もない?