【河内長野市】アクロバットのような豪快&華麗に舞う日野獅子舞!みのでホールと高向神社で今年も奉納
地車(だんじり)以外の河内長野野秋祭りで、特に人気の高い印象があるのが日野獅子舞です。これは昨年の秋祭りが行われる時期に、私宛に日野獅子舞のすばらしさを伝えてほしいというメッセージを送ってくれた方もいたほど。地車も含めてそのような連絡を秋祭りでいただいたのは、後にも先にも日野獅子舞だけです。
700年の歴史があるという日野獅子舞(日野地区獅子舞)。今年も開催日程が決まりました。例年通り秋祭りの前日、11日金曜日の夜に日野にある、みのでホールで19時から奉納され、翌12日に11時半より、地車宮入りのタイミングで高向神社で奉納されます。
日野獅子舞は市指定の無形民俗文化財ということもあり、5月に市役所を会場として行なわれた市制70周年記念祝賀イベントでも拝見することができました。
地車パレードに先立ち、ステージで行われたのが日野獅子舞です。雨が降りしきる中、塗れて滑りやすくなった舞台もものともせず踊る獅子舞の姿は感動的でした。
実は昨年の秋に日野獅子舞の練習風景に立ち会う機会がありました。
場所は、みのでホールの「ししまい館」と呼ばれる場所です。かつては高向神社に合祀された春日神社跡で舞われていたそうで、神社があったときには神社に奉納していたものと考えられます。
一般的な日本の獅子舞の頭といえば、画像のような赤い頭の獅子です。
しかし、六斎念仏獅子とも呼ばれる日野獅子舞は使用する獅子の頭が特別です。獅子の頭によって舞う内容が異なります。ししまい館入口に展示してあり、説明がありました。
リハーサルでは、関係者が集まり打ち合わせが行われていました。情報によれば江戸時代のころまで人形芝居と共に伝承されていたそうで、人形芝居は江戸末期に廃絶します。
さらに獅子舞は明治の日清戦争があった頃に一度途絶えたのです。しかし、1933(昭和8年)に復活したとのこと。さて練習では獅子舞のボディを表す幕(油単:ゆたん)をエアー(透明)状態で、頭だけをもって舞いながら、祭本番に向けて練習が繰り返されます。
日野獅子舞の中には非常に高度な舞いもあります。床几(しょうぎ)の舞と呼ばれるものについては台(床几)を2段にして、さらに演者がときおり肩車状態になって高く舞うとのこと。これを見たので、よけい本番が楽しみでした。
みのでホールのある日野地区は19時から行われますが、獅子舞が終わるころには最終のバスがありません。なので本番を見るのが無理かなと思ったのですが、翌日高向神社の地車宮入りのタイミングでも日野獅子舞の奉納が見られるというので、昨年の秋に見に行きました。
普段はひっそりとしている高向神社が、この日だけは別格的に大にぎわいでした。日野獅子舞が高向神社で奉納され始めたのは、1908(明治41)年、日野の鎮守だった春日神社が高向神社に合祀されたのがきっかけです。
こちらにいるのは、天狗(猿田彦大神)です。天孫降臨のために降りてきた瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の先導(みちひらき)をした神ということで、高向神社に限らず秋祭りでは先頭を歩きます。
猿田彦を先頭に、神社への行進が始まります。高向神社は高向の3つの地車(上町、中町、下町)の人たちに加えて、獅子舞の地区である日野地区も加わるので、とにかく人がたくさん集まっています。
動画も撮りました。
その行列の中に、日野獅子舞も含まれています。
獅子舞らの入場の後、順番に地車が入ってきます。こちらは高向中町です。
次に高向上町。
そして高向下町です。
地車の宮入の様子も動画に撮りました。
3台の地車がそろいました。
神輿が社殿の方に向かっています。
これは本殿に鎮座していた祭神が神輿に入るところです。
儀式が終わると日野獅子舞が始まります。
床几が用意されます。
最初に高向の子ども獅子舞が奉納されました。子どもの獅子舞と言っても本格的なもので、これだけでも存分に楽しめました。
ここで時系列がつい最近に代わります。一昨日10月8日の夜、河内長野市文化課の方からのお誘いを受け、今年の高向子ども獅子舞の練習の場に立ち会うことができました。
場所は高向中町集会所です。目の前にあるのは高向中町の地車小屋です。
中に入ると獅子舞が置いてあります。高向中町の方によれば3組6人の子どもたちが練習をして、3か所(高向神社本殿、薬師堂前、御旅所)で1組ずつ舞うのとこと。
ただし、誰がどこを担当するのかは祭り当日の朝のくじ引きで決まるそうです。
また、高向神社には高向上町、中町、下町が宮入りしますが、3つの町が毎年持ち回りで担当が決まっていて、今年は中町が獅子舞担当とのこと。あとのふたつの町は神輿担当と練り(天狗:猿田彦らの行列)担当になります。
そのため昨年の獅子舞は中町担当ではなかったのですが、今年は中町担当ということで男の子が1組、女の子が2組の組み合わせになりました。中町では現在男の子がひとりしかおらず、他の町からもうひとりの男の子が獅子舞に参加したとのこと。
さらに中町の人の話では、最近の神社はスタイルが変わっていて、高向神社秋祭りのように昔ながらのスタイルが残っている所は珍しく、地元の人間も知らないほど貴重な秋祭りになっているとのこと。お話を伺うと高向神社の秋祭りの見る目が変わりそうです。
町会長さんからのあいさつです。9回目の練習ですが、この日は総代の方ら町の主要な人たちが集まり、その他河内長野市文化課の方と「河内長野版歳時記プロジェクト」動画撮影スタッフなどが集まり、本番さながらのリハーサルのような日でした。
ということで練習が始まります。
さっと獅子舞の油単の中に入りました。太鼓に合わせて舞いが始まります。時間はおよそ8分間。
獅子舞が始まりました。さっきまで幼い子どもがまるで獅子に取りつかれて豹変したかのように荒々しい舞を披露します。
子どもたちにとって町の大先輩が並ぶ中、さらに撮影クルーがいるということもあり、これまで以上に力強いという声が出ていました。
とはいえ、町の先輩方からいろいろ細かい指示があります。「頭の振り方をもっと激しくする」「すり足が大切なのでもっと練習をしないといけない」「太鼓に合わせず自分のペースで動け」「後が良い動きをすれば前が動きやすい」といったアドバイスを送ります。
私個人としては、足の動きが見事と思いました。前と後ろが絶妙なバランスで同じ足の動きをしていました。中の人はそれぞれ別人ですが、一頭の獅子になりきっているようです。同じ組になるふたりの息がいかに大切なのかがわかる瞬間です。
次は女の子の番です。女の子の組は2組で、最初のふたりです。
男の子も女の子も、油単の中に入るとやはり豹変します。本当に獅子がそこで生きていて動き回っているように見えます。しかし、町の先輩方は上達は認めつつもさらなる高みを要求していました。
動画ではないのでわかりにくいのですが、獅子のしっぽが動くシーンがあります。後の担当が行っていると思われます。ついつい前の担当が行なっている頭の方を重視しますが、しっぽの方も見ておかないと損だなと思いました。
9回の練習でどうしてここまで上達するのか中町の方に伺うと、自然にそうなっていくといいます。子どもたちもこの年齢なら自分たちなりの意思を持っている筈なので、周りの期待に応えようと必死なのかもしれません。
3番目の組、女の子です。前の2組と変わらない激しい動き。
カメラ撮影を強く意識しているのかどうかわかりませんが、あたかもカメラに向かって獅子が威嚇、さらに今にでも襲い掛かるのでは?というくらい激しい動きはなかなかのもの。子ども獅子舞と言っても侮れないと思いました。
ついついアクロバットのような豪快な舞を披露する大人の日野獅子舞を注目しがちですが、練習を見る限り、子ども獅子舞も決して負けていないと思いました。秋祭り当日は高向子ども獅子舞にも注目しましょう。
獅子舞の練習は3組が順番に2回行い、そのあと休憩に入りました。私はこのタイミングで引き上げさせていただきました。休憩の後に後半の練習と続き、秋本番に最高の形で披露できるよう頑張るのでしょう。
余談ですが帰り道、ちょうど高向下町の地車小屋の前を通りました。小屋の前が開いていて練習していました。秋祭り本番に向けてラストスパートという印象でした。
画像は昨年の高向獅子舞です。中で舞う子どもが今年とは違いますが、先日拝見した練習を見る限り、日野獅子舞に負けない素晴らしい舞を披露してくれるでしょう。
そしていよいよ日野地区獅子舞が登場します。最初に行われるのが巣垣の舞(すがきのまい)です。ししまい館にあった説明によると、5つの舞の先頭をきって舞うことになっています。
蜘蛛が巣を張ることを「巣がく」と呼ぶそうで、河内長野でも人があまり通らない山道をあるくと良く遭遇します。
そして後に続く獅子のために巣を張るように確かめる舞いなので、このような名前が付けられているとのこと。
地面を確認する動きなどの描写がまるで生きているみたいでした。
この後、床几が2段に積み上げられます。床几の舞いが始まります。
床几の舞いは説明によると、「曲舞い」と呼ばれているもので、村の若者でも特に筋骨がたくましい青年が担当します。若者の身体を鍛え上げ、男の勇気を培うために舞うそうです。
床几の舞いは、アクロバットのような激しい動きが特徴です。通常、獅子舞の中の人は(油単:ゆたん)から顔が出ないように舞います。
しかし、床几の舞いはそういうのとは無関係に、ときおり顔が出ながらも、息があった激しい舞いが大きな特徴です。
床几の舞いはとにかく豪快でした。
日野獅子舞の中でも人気の演目のひとつのようです。
元の高さに床几が戻り、目の前に花が登場しました。
次は花の舞いが行われます。
花の舞は、獅子の頭が黄金色をしています。説明によると「五穀表情」を祝い、村人の感謝の気持ちを表しているとのこと。
とにかく華麗で気品があるのが特徴です。
花の香りをかいでいるようですね。床几の舞の豪快さとは対照的に、華麗さがあるのが花の舞です。
一連の様子を動画に捉えました
高向神社で奉納される日野獅子舞は、同じ場所ですべて行われるのではなく、薬師前や御旅所と舞台の場所を変えて行われます。
そのためすべて見ることはできませんでした。
今年の5月に雨の中の市役所前で行なわれた日野獅子舞の中には、昨年秋見られなかった舞を見ることができました。それは地巣籠(じすごもり)の舞です。
説明によると「子孫繁栄」を願ったもので、キツネの所作は人間の日常卑近(にちじょうひきん:身近でありふれていること)な智慧(知恵)のある動物を擬人的にとらえた舞いとのこと。
狐面が登場することもあり、とても気になっていましたが、昨年の秋祭りの時には見られなかっただけに、市制70周年の時に見られたのは嬉しかったです。
少しだけですが動画も撮影しました。
最後に今年の日野獅子舞のスケジュールを紹介しましょう。
- 10月11日 19:00から みのでホール
- 10月12日 11:30から 高向神社
いずれも駐車場が用意されているので、車派の人も行きやすいのが良いですね。ただ12日はほかの地区の地車も動いているので、市内の交通状況には注意が必要です。
みのでホールの場合は一気にすべての日野獅子舞が見られるのに対して、高向神社の場合は舞台の位置が変わります。昨年のスケジュールをもとにまとめると次のような順番で獅子舞が奉納されると予想されます。
- 11:30 宮入開始
- 12:30 本殿前で「高向子ども獅子舞」「巣垣の舞」「床几の舞」「花の舞」
- 14:10 薬師堂前で「高向子ども獅子舞」「風の舞」「地巣籠の舞」
- 15:30 御旅所で「高向子ども獅子舞」「乱曲の舞」
高向神社
住所:大阪府河内長野市高向291
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 上高向バス停より徒歩4分
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