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【富田林市】千早赤阪村への道の途中、摩訶不思議な階段が!富田林の修験者たちの碑が並ぶ戸立行者堂

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林から千早赤阪村へ行く道の中に、大阪府道202号線があります。この府道は旧道がそのまま府道になっているからでしょうか、途中に意外なスポットに出会うことがあります。そのひとつはある高台にある建物。そこに行くと、長くて摩訶不思議な階段がありました。

中佐備交差点から、東方向に少し歩いたところのそのスポットがあります。

やがて見えてきました。画像上部の記のすぐ左下にハシゴの様な階段が見えます。結構長いですね。

近づいて見ると駐車場があります。行者参拝者とあります。行者とあるので、飛鳥時代に修験道を開いた役小角(えんのおづぬ)と関係があることがわかります。

つまり摩訶不思議なハシゴの様な階段がかかっている建物は、修験道のお堂です。

正面に来ました。ハシゴのように見えたのは、蹴込み板(けこみいた)と呼ばれる垂直部分が無いからで、スケルトン階段とも呼ばれているそうです。

階段を上がる手前に手水舎があります。

そして、横に墓石のようなものが並んでいますが、これは奈良県にある修験道の大峯登山の参拝記念の塔です。大峯山は奈良県ですが、その手前、金剛山地や和泉山脈には葛城修験の行場もあるので、修験道とのつながりの深さを感じますね。

ハシゴのようにも見えるスケルトンの階段で上に上がってみましょう。

上にある建物の名前は戸立行者堂です。戸立はこの辺り(旧石川郡佐備村)にあった地名かどうか調べてみましたが、残念ながら情報が出てきませんでした。ただ現在の河南町加納には戸立という地名があったようで、旧石川郡白木村大字加納字戸立には建水分神社に合祀された加納神社が存在した(外部リンク)という記録が残っています。

また、下の記念塔のなかに「戸立講中」と刻まれているものがあります。ちなみに講中とは講というグループを組む連中という意味があり、戸立という修験道のグループがいることがわかります。

階段を上がってきました。

正面の字は「石」にも似た字になっていますが「戸立行者堂」とのこと。

戸立行者堂の情報を調べると5月7日に大祭が行われ、戸立講を中心に佐備町内会が協力して、修験者(山伏)を招いて護摩を焚くとのこと。

行者堂内は土足厳禁です。

扉が閉じられているので中の様子はわかりませんが、調べると金剛蔵王権現(行者)が祀られているとのこと。金剛蔵王権現は、吉野にある金峯山寺本堂(蔵王堂)の本尊と同じです。行者こと役小角が金峯山寺で修業した際に感得(かんとく:感じて会得する)したとされ、釈迦如来、千手観音、弥勒菩薩が合体したものとされます。

また27代の安閑天皇(あんかんてんのう)と同一の神格(かみとされているとの情報をはじめ、その他にも日本武尊(やまとたけるのみこと)や大己貴命(おおあなむちのみこと)、少彦名命(すくなびこのみこと)、国常立尊(くにのとこたちのみこと)といった神道の複数の神々とも同一視されていたとのこと。密教の明王像にも似ているとの指摘もあります。

賽銭箱の後ろに書いてあったのは般若心経です。修験道が山岳信仰と仏教(密教)、さらに神道や道教と混ざりながら成立したとのことなので、いろんな神や仏が同一視されているんですね。

下りは上りよりもはるかに急にみえます。とはいえ手すりがあるので安心です。

実は階段を使わなくても、その先に少しなだらかな道があったので、帰りはそちらから帰ります。

なだらかな道を下る途中、横から階段を撮影しました。

さて、もうひとつ戸立行者堂の敷地内に気になる記念碑を発見しました。

花折奥之池記念碑とあります。調べても明確な情報は出てきませんが、ある偉人の功績をたたえるために建立された頌徳碑(しょうとくひ)である可能性が高いようです。1947(昭和22)年11月に建立されたとのこと。

記念碑のある戸立行者堂の周りには名前のわからない小さなため池がいくつか確認できます。花折奥之池がどの池なのかわかりませんし、もう埋め立てられて存在しないのかもしれませんが、記念碑はため池を作ったことに対する功績を称えた可能性があると考えられます。

戸立行者堂

住所:大阪府富田林市佐備1415

アクセス:近鉄富田林駅からバス 中佐備バス停から徒歩5分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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