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【ハーブの冬支度】雪に備えるハーブのお手入れとは?少しの準備で来年の成長が変わります

racss食育インストラクター・調理師/菜園家

秋も深まってきました。北海道その他の雪国では、雪が降っては解けを繰り返しながら本格的な冬へ向かっています。ハーブの冬支度、し忘れていませんか?お庭や家庭菜園でハーブを育てている場合、この時期のお手入れで来年の成長具合が変わってきます。

まだ間に合うハーブの冬支度。雪が降る地域ではどんなお手入れをしたらよいのでしょうか?北海道の積雪地方での栽培経験をもとにご紹介します。

ハーブ類全般の冬支度を始める時期とは

紅葉の時期から雪が積もるまでの間にハーブの冬支度を
紅葉の時期から雪が積もるまでの間にハーブの冬支度を

ハーブにも様々な種類がありますが、全般的に気温が10度を切るようになったら冬支度を始めましょう。紅葉の時期から、寒冷地では初雪が降る前までが目安です。
しかし初雪が降ってもそのまま根雪になることはほとんどありませんので、土が凍る前までなら間に合います。(「根雪になる」とは雪が溶けず積もったままの状態になること)

植えっぱなしハーブの冬支度方法

雪国で外の土に植えっぱなしで冬越しできるハーブには、ラベンダーやタイム、ミントやレモンバーム、オレガノなどがあります。
大きく「常緑低木系ハーブ」と「多年草系ハーブ」に分けられますが、それぞれ冬支度方法が異なります。

ラベンダーや立性タイム(常緑低木系ハーブ)の雪囲い

タイムの枝の間引きカット
タイムの枝の間引きカット

ラベンダーやタイムは実は「木」です。ですから雪の重みで折れないための対策が必要です。まず、既に枯れている枝やいらない枝を根本からカットします。高さは全く切らないか、先端を揃えるのみにします。

ご注意:
普通なら冬になる前にばっさりと剪定するのもよいのですが、寒冷地の場合は切りすぎにご注意。切りすぎると春からの芽吹きが弱くなり、枯れてしまうことがあります。
さらに積雪地方の場合は雪や氷で傷む枝が必ず出ます。雪がとけてからの剪定も必要になりますので、今は混み合う枝を間引く程度にしておくのがおすすめ。

紐でぎゅっとまとめる
紐でぎゅっとまとめる

次に1株ずつ、ぎゅっとまとめて紐で縛りましょう。まとめて縛るだけで、細い枝も枝折れしにくくなり雪の重みで変形してしまうことを避けられます。紐は冬囲い用ビニール縄が手軽ですが、平テープや太い麻紐などでも。
屋根から落ちる重たい雪や、除雪の際に下敷きになりそうな位置にあるなら、支柱を芯にして縛ると強度がアップするので安心です。

ラベンダーの雪対策の冬囲い方法は別記事で詳しく紹介しています。そちらもあわせてご覧ください。
「まだ間に合う!雪に負けないラベンダーの冬囲い方法」

ミント類(多年草系ハーブ)の冬支度

地上部をカットして整理する(写真はレモンバーム)
地上部をカットして整理する(写真はレモンバーム)

ミント類や、オレガノ、レモンバームなど真冬に地上部が枯れる多年草系ハーブの冬支度は簡単です。地上部をハサミでカットして整理するだけ。このように地上部を除去していると春の芽吹きの際に成長がスムーズです。
カットした部分は短くしてそのまま根本の土の上に敷いておくと根や土の保護材(マルチ)となります。
カットした部分に枯れずにきれいな葉があるのを見つけたら、最後の収穫として活用しましょう。ドライにしておけば冬の間に楽しめます。

耐寒性が弱めのものは掘り上げて室内へ移動させる

ローズマリーとセージ
ローズマリーとセージ

耐寒性があるとされるハーブの中でも冬越しに失敗しやすいものもあります。
品種にもよりますがローズマリーやセージは極寒地域の屋外では冬越し難度が高いようです。心配なものは掘り上げて鉢に移し、玄関や室内の涼しい部屋で冬越しさせましょう。

プランター植えにしているハーブは一箇所に集める

鉢植えを一箇所に集めて冬越しさせる
鉢植えを一箇所に集めて冬越しさせる

地植えではなく鉢やプランターに植えているハーブは、地植えと同じように縛ったりカットしたりした後、安全な場所に集めておきます。これは雪の下になって見えなくなって誤って踏みつけてしまわないためです。春に雪がとけてみたら、プランターが割れていた・・・というがっかりを避けられます。
私の家では、畑の奥の一角とベランダ横の一角にプランターや鉢を集めて越冬させます。ここも雪に覆われますが、屋根からの落雪はなく、通路として使うこともなく、雪はねの邪魔にならない位置ということで決めています。

雪に覆われるほうがハーブの冬越しは成功する

雪は畑のお布団
雪は畑のお布団

雪が積もると雪の下になった植物は凍ってしまうのでは?と思われがちですが、そうではありません。実は雪に完全に覆われると、植物は一定の温度に保たれ保護されるんです。
「雪は畑のお布団」なんて言われるのを聞いたことがあるかもしれません。雪の下に野菜を保存する方法も一般的ですよね。
積雪量の多い地域ほど、雪に守られるおかげでハーブの冬越しが失敗しにくいというわけです。

雪が積もらないならプランターごとしっかり覆う

しかし、雪に覆われず、寒風が吹き付ける場所での冬越しは、ハーブにとっては大試練です。プランター植えのハーブは地植えよりも土が少ない分、凍害に遭う可能性が高いのでなおさら対策を考える必要があります。
積雪が少ない地域なら、凍らせないためにネットやムシロを使ってプランターを覆い、保護しましょう。冬囲い資材として売られている「冬囲いネット」や「むしろ(麻布・ポリプロピレン製もある)」などを活用してください。わたしはコーヒー豆の麻袋をリサイクルしたジュート布を愛用しています。

ハーブの冬越し方法まとめ

雪が降る地域でのハーブの冬越し方法をご紹介しました。簡単な冬支度ですが、まだの方はぜひ行ってみてください。わたしの育てるハーブも、冬支度がきちんとできた年とできなかった年とでは春からの生育具合がかなり変わります。毎年反省したり勉強したり。本格的な冬が始まる前のこの時期、ハーブたちにもひと手間かけてあげたいですね。

最後までご覧いただきありがとうございました!参考になりましたら幸いです。

食育インストラクター・調理師/菜園家

癒やされる観葉植物にはまったのち、家庭菜園を初めて早15年。宿根草とハーブや野菜、野草、山菜系野菜や小果樹を庭で栽培しています。楽しみながら育て、味わい尽くす方法を、調理師・食育インストラクター(2級)の目線から発信していきます。 北海道での家庭菜園の様子はInstagramと公式サイト「racssblog (料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし)」にて公開中。

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