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NY金5日:利上げ警戒で反落、ISM非製造業指数が10年ぶりの高水準

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比5.00ドル安

始値 1,086.90ドル

高値 1,091.30ドル

安値 1,081.70ドル

終値 1,085.30ドル

米利上げ観測の蒸し返しを背景に、反落した。

アジア・欧州タイムには1,084~1,088ドル水準を中心に揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入り後に戻り売り圧力が強まり、マイナスサイドに沈んでいる。注目の7月ADP雇用統計では民間雇用者数が前月比+18.5万人(前月は+22.9万人)に留まり、市場予測+21.5万人を大きく下回った。ただ、その後発表された7月ISM非製造業指数が前月の56.0から60.3まで大幅な改善を見せたことで、9月利上げの可能性も十分にあるとの見方が優勢になり、金相場は反落している。本日はドルが反落したが、買いが膨らんだのはニューヨークタイム入りと前後しての一時的なものい留まっており、総じて上値の重さが再確認できる状況が続いている。

ADP雇用統計の数値からは、7日に労働省が発表する雇用統計で慎重な数値が出てくるリスクが警戒される。ただ、少なくとも大幅な悪化を想定する必要性は乏しい一方、ISM非製造業指数が約10年ぶりの高水準に達する中、利上げ着手の流れには変化がないとの楽観ムードが優勢に。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)理事は、利上げの「時は近づいている」として、経済データ次第では9月の利上げを支持する可能性も示唆している。

引き続きアジア現物市場からのサポートは鈍い一方、金ETFに対する大量売却は継続しており、現物需給要因からはボトム形成は先送りされ易い。利上げ着手で材料出尽くしとなる可能性も想定しておく必要があるものの、少なくとも9月米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けては上値の重い展開が続き易い。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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