携帯電話の買い替えをした世帯の実情をさぐる(単身世帯・二人以上世帯編)
・世帯単位での携帯電話の買い替え率は単身世帯で17.9%、二人以上世帯で24.8%(2018年)。
・世帯単位での携帯電話の買い替え率は単身世帯よりも二人以上世帯の方が高い傾向がある。
・世帯単位での携帯電話の買い替え率は単身世帯ではほぼきれいな方で若年層ほど高くなる買い替え率だが、二人以上世帯ではむしろ中年層の方が高い。
多機能さから魔法のアイテムのような存在の携帯電話(スマートフォンと従来型携帯電話の双方)。世帯ベースではどれぐらいの割合で買い替えが行われているのか。内閣府の消費動向調査(※)の結果から、世帯種類別(単身世帯(世帯主のみ)と二人以上世帯(世帯が二人以上で構成))にその実情を確認する。
まず最初に示すのは、世帯種類別の買い替え率。
二人以上世帯の方が当然世帯単位の携帯電話数が多くなるので、買い替えの可能性も高くなる。結果として、買い替え世帯率も高くなるのは物の道理。二人以上世帯では2割強で携帯電話の買い替えが行われている。
続いてこれを買い替え理由で細分化したのが次のグラフ。
単身世帯よりも二人以上世帯の方が「上位品目」による買い替えがされやすい傾向がある。子供がいる世帯では上位機種をせがまれたり、あるいは従来型携帯電話からスマートフォンへのシフトが容易に行われる関係だろう。
最後は直近年における各種属性別の動向。
単身世帯ではほぼきれいな方で若年層ほど高くなる買い替え率だが、二人以上世帯ではむしろ中年層の方が高い。これは子供のいる世帯において子供の端末の買い替えをした場合も含まれているからだろう。
他方世帯年収別では二人以上世帯はほぼ比例する形で高年収ほど高い買い替え率を示すものの、単身世帯では中堅クラスが最大値を示し、それ以上の年収ではむしろ下がる傾向にあるのが興味深い。高性能機を所有し、あるいは現状の端末で満足し、買い替える必要を感じていないのかもしれない。または高齢層ほど高年収であることと連動している可能性はある。
携帯電話は新機種の展開に伴う買い替え需要が大きいため、iPhoneの新機種発売やau、ドコモの参入といった大型のイベント発生時における買い替え状況の動向を見たいところだが、残念ながらデータは2014年分以降しか公開されていないため、今回のような形となった。今後新たな、携帯電話市場を大きく揺るがすようなイベントがあれば、それを反映した値が計上されるに違いない。
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※内閣府の消費動向調査
今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することにより、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。
毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2017年4月~2018年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。もちろん新規に購入した場合や、買い替えが該当時期で無かった場合は回答に加わらない。
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(注)「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。