日銀はどうして相応の国債買入減額を行おうとしているのか
6月13、14日に開催された日銀金融政策決定会合の主な意見が公表された。7月の決定会合において、どのような判断が下されるのかを占う上でも注意すべきものとなる。
ここで注目すべきは3点となる。
ひとつは7月の会合で「市場参加者の意見も確認し、次回金融政策決定会合において、今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定する。」としたものの位置づけとその内容となる。もうひとつが「利上げ」の可能性、もうひとつが「円安」との関係性となる。
今回は国債買入の具体的な減額計画に関する意見から、いったい何をしたいのかを探ってみたい。
「金融市場において長期金利がより自由な形で形成されるよう、国債買入を減額していくべきである。その際、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で相応の規模の減額をしていくことが適切である。」
国債買入の減額の目的が「長期金利がより自由な形で形成される」ことにある。そうであれば、もしもの際の「指値オペ」も廃止すべきと思う。
「予見可能な形で相応の規模の減額をしていく」というところもポイントとなる。
「イールドカーブ・コントロールからの出口を円滑に行うことができた経験も踏まえて、国債買入の削減についても、削減額やペースのほか、枠組みの作り方などを工夫することで、市場の混乱を起こすことなく削減を行うことができると考えている。今回具体案を決めるより、市場参加者の見方を確認するプロセスを踏んだ方が、よりしっかりとした規模の削減ができる。」
6月にどうして国債買入減額の具体策を決めなかったのか。事前報道で月額6兆円規模の買入を5兆円程度とするといったものがあった。もしかするとそちらの方向で動こうとしたが、いやちょっと待て、となって、その後の減額に対して不透明感が生じること、さらにやや中途半端な減額案ではなく、最終的な減額案を示すことで、それに向かって削減額やペースのほか、枠組みの作り方などを示すことの方が良いとの認識で7月に決定することにしたとの見方がてきる。
「市場参加者の見方を確認するプロセスを踏んだ方が、よりしっかりとした規模の削減ができる」という点もポイントとなる。これは財務省の国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD懇)の懇談会なども参考にしたのではなかろうか。年末に向けたPD懇を経ることによって翌年度の国債発行計画の発表による市場への影響は極力抑えられるようになった。
「3月の政策枠組み見直しの趣旨を踏まえ、国債買入の減額を行うことで、市場における日本銀行のプレゼンスを小さくしていくことが必要である。」
だから指値オペを、はさておき、債券市場の鯨と化している日銀のプレゼンスを小さくしていくことは必要である。
「国債の買入額の減額については、債券市場の需給や機能度の改善状況を踏まえつつ、中期的な計画を策定して、これに沿って淡々と減額を行うことが望ましいが、減額の最適なペースなどを設定する必要があるため、市場との対話も含め、ある程度の時間をかけて慎重に検討すべきである。」
ある程度の期間が1か月であったのかもしれないが、日銀や財務省としてもそれなりの想定はしていたとみられる。そこに市場参加者の意見も踏まえた上で「減額の最適なペース」を具体的に示そうということであろう。
「バランスシートの縮小は、拡大した日本銀行の市場への関与を市場への攪乱的影響を避けつつ減らしていくことが目的であり、金融政策とは切り離して行うものである。」
これも大きなポイントとなる。バランスシートの縮小は金融政策とは切り離して行うものとする。ということは7月の金融政策決定会合での金融政策はどうするのか。これは次回に検証してみたい。