英国の物価と政策金利の動向
英統計局が20日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.3%上昇した。伸び率は前月から0.6ポイント上昇し、英イングランド銀行(BOE)が物価目標とする2%を上回った(21日付日本経済新聞)。
これまで英国の消費者物価指数については、あまり触れてこなかったこともあり、ここで少しその推移を確認してみたい。
2022年の世界的な物価上昇は英国も直撃した。2022年8月には英国の消費者物価指数は前年同月比で10.1%と10%を超えてきた。2022年10月には前年同月比11.1%上昇と41年ぶ りの上昇率を記録した。
賃金上昇率はこの物価上昇に追い付かず、消費者物価指数の上昇率を超える賃上げを求めてストライキも行われた。
この物価上昇受けて、イングランド銀行は政策金利を引き上げた。
2021年11月に政策金利を0.1%から0.25%に引き上げ、2022年には毎会合ごとに引き上げ、3.5%に。2023年も引き上げは続き、5.25%まで引き上げた。
5.25%の政策金利は2024年7月まで続き、8月に5.00%に引き下げに転じ、11月には4.75%に引き下げた。
消費者物価指数は。2022年10月の11.1%をピークに次第に上昇幅が縮小。2023年5月には2.3%と2%台となり、9月には同1.7%とイングランド銀行が目標とする2%を割り込んできた。
しかし、10月は2.3%と再び2%台を付けてきたのである。電気やガスの価格が上昇し、全体の伸び率を押し上げた。
これを受けて、市場ではイングランド銀行の利下げ観測がいったん後退したようだが、政策金利そのものは4.75%と高い水準にある。
これは米国も同様であり、こちらの政策金利も4.75%となっている。
米国でもパウエル議長の「慎重なペースで政策金利を引き下げる余地が生じている」といった発言名などから12月の利下げは見送りかとの観測も出ている。
もしかすると英国も米国もいったん12月は様子を見る可能性もあるかもしれない。