【目黒区】今年の風水害対策・訓練は一味違う! 参加型・体験型で盛り上がった「めぐろ水防フェスタ」
集中豪雨や台風、地震と様々な自然災害が毎年のように日本列島を襲います。近くに大きな川がないからと安心していると、思いがけない被害にあうこともあるそうですよ!
今回は目黒区防災課主催で行われた「めぐろ水防フェスタ」に参加してきました。例年とはちょっと趣向を変えて、参加型・体験型のフェスタ形式で行われるとのこと。なかなか盛り上がった当日の様子をダイジェストにご紹介しますね。
2023年は実践的に防災知識や対策が学べる参加型・体験型のイベントに
私自身、以前住んでいた分譲マンションで自治会の役員(副会長)を経験しています。毎年行っている行事の一つとして防災訓練がありますが、いまひとつ盛り上がらず、参加するメンバーは自治会役員ばかり・・・。
子どもたちも参加してもっと盛り上がるイベントにしたいと思いつつ、賃貸に引っ越してしまいその後は町内会と関わることのない生活を送っています。
今回の「めぐろ水防フェスタ」は自分で自分の身を守る、家族を守るためにどのように行動すればよいかを学ぶ良い機会となりました。
目黒区長の青木さんからも「いざというときに役立つ防災に対する知識や、どのように行動したらよいのかを経験として体感できる。自分自身やご家族を守る実践的な風水害対策が学べる。そんな1日になったらと」とお話がありました。
「めぐろ水防フェスタ」で大注目を集めた「VR防災体験車」、風水害のリアルな疑似体験が可能
東京消防庁が所有している「VR防災体験車」は、最新のVR技術を活用した「これまでにない臨場感あふれる防災訓練」を体感できる車。
専用ゴーグルを装着し、360度の立体映像とシートの揺れ、風圧・熱などの演出でまるでその場にいるかのような災害疑似体験が可能となっています。この体験を通じて、いざという時にどのように行動すればいいのかを「身をもって知る」ことができるというわけです。
こちらは当日整理券を配布し、時間ごとに区切って体験が可能。取材の関係で残念ながら今回は体験できませんでした。
今回だけの特別な体験「目黒川船入場調節池」を見学、一般の方は立ち入りできない施設をちょっぴりご紹介
目黒川の氾濫対策として船入場に設けられている地下箱式調節池。今回のフェスタではこの調節池の内部を特別に見学できるツアーを実施しました。
実はこの調節池の見学がどうしても参加したくて、VR防災体験車を諦めたのでした。
事前申込制でこちらもすぐに枠が埋まってしまうほど、大きな関心が寄せられていたプログラム。取材を兼ねて特別に同行させていただきました。
一般の方は立ち入りできないということで、中には照明なども一切ありません。今回の見学会のために、目黒区側で照明などを随所に設置し、安全に歩けるよう配慮されていました。
こちらの見学会には別途ご紹介記事でじっくりとご紹介したいと思います。こうご期待!
高層マンションで火事が起きたらどうする!? 高所での救助に活躍する「はしご車体験」
そして今回のフェスタでもう一つ、注目を集めていたプログラムが「はしご車体験」。高層マンションなど高い建物での救助活動に活躍するものです。
最も短いもので15m級、最長で50m級のものがあるそうです。通常では30~40m級(マンションの11階程度に対応)のものを備えている消防署が多いとか。
50m級のものでもいわゆるタワーマンション最上階には届かない・・・。いざというときに皆さんどのように避難するのでしょうか。気になるところです。
人を乗せるバスケットやリフターが設置されていますが、通常は2名までが搭乗可能となっています。今回の体験では2名乗り(お子様連れの場合は3名)のものでした。
町内会やマンションの自治会などで出向を要請可能「地震体験車(起震車)」
続いてご紹介するのは、最大で震度7までの揺れを体験できる「地震体験車(起震車)」です。トラックの模擬ハウス部分に乗車し、地震の揺れを体験しながら避難行動などが学べます。
目黒区ではこの地震体験車(起震車)を所有しており、区内の町内会や学校、事業所、区内に主な事務所がある団体等からの要請に応じて出向を行っています(事前予約制)。
先ほど、町内会や自治会での防災訓練はマンネリ化しがち、という話をしましたが、こういった体験を盛り込むと、より実践的な避難訓練が実施できそうですね。
目黒区民なら知っておきたい、風水害への備えをダイジェストにご紹介!
目黒区は目黒川の船入場と荏原に調節池が出来てから大きな水害は起こっていないそうです。とはいえ、水害は川の氾濫だけではなく下水道による浸水被害も起きる可能性があります。
「めぐろ水防フェスタ」で出展されていた各ブースと備えて起きたポイントなどをダイジェストでご紹介していきましょう。
浸水でドアが開かなくなる実体験を実施「東京都下水道」
東京都下水道局のブースでは雨水流入模型「雨ますくん」を使い、雨水が溜まって外開きのドアが開かなくなる実験を体験しました。
少し水が溜まっただけでもドアがびくとも開きません。道路より低い位置ににドアがあるご家庭(半地下・地下室など)はご用心。雨水だけではなく下水管があふれ出して浸水する恐れがあるそうです。
いざというときの行動をあらかじめ決めておく「東京マイ・タイムライン」
「東京マイ・タイムライン」は「東京都総合防災部」が提供しているもので、災害時にどのような行動をとるべきかあらかじめ決めておくためのキットです。
「東京マイ・タイムライン」の中にはガイドブック、貼りはがしが可能な「行動」シール、マイ・タイムラインシート3種類(台風が近づいているとき・大雨が長引くとき・短時間の急激な豪雨が発生するとき)、気象情報や避難情報などが取得できる情報一覧、作成例が入っています。
普段はご家族と一緒に過ごしていても、災害時には1人だけということはよくあります。「マイ・タイムライン」は、誰かに行動を決めてもらうのではなく、ご自身の判断で具体的にどのように行動するのかを決めておくためののも。
もちろん一度決めればそれでOKではなく、繰り返し見直して、手を加えていくのがベスト。初めて使うという方向けに「東京マイ・タイムライン作成ナビ」もありますのでぜひ活用してみてはいかがでしょか。
災害時に出るたくさんのゴミはどうする? 「目黒区清掃事務局」
地震や風水害で浸水被害を受けるとその後に出る大量のゴミ。私の実家がある福島では、2022年3月に起きた福島県沖地震で多大な被害を受けました。
何度も福島へ帰省し、不燃物・可燃物・ガラス・陶器などにすべて仕分けし、廃棄するまでになんと2年の歳月が・・・。私の実家は敷地が広いのでゴミを一時的に仮置きできたので良かったですが、都心部では置き場所に困るお宅がほとんどなのでは?
災害後に出たゴミを分別せずに勝手にいろんな場所へ廃棄してしまう事例が各地で続出。ほおっておくと緊急車両の通行を妨げる、悪臭や害虫が発生する、火事になるなど二次被害が出る恐れもあります。
災害時には臨時集積所が設けられる予定ですので、廃棄する場合は自治体からのアナウンスや指示に従うようにご協力をお願いします。
ハザードマップや防災行動マニュアルを配布「目黒区防災課」「目黒区都市整備部」
目黒区防災課ではハザードマップや防災行動マニュアルを配布。
お隣のブース「目黒区都市整備部」では目黒川の水位が上がり、避難が必要な場合に鳴るサイレンについて実際にどのように知らせるのかも紹介しました。
また、最近公園などで見かけるようになったのが「緊急用土のう」です。街歩きやお散歩がてらどんな場所に設置されているのかをチェックしておくといいですね。
土のうステーションが近くにないという場合、ご自宅にあるもので簡単に作れる土のうがわりになるものも紹介。
上写真はゴミ袋に水を入れてつくった土のう代わりになるもの。段ボール箱や植物用のプランターなどに入れると浸水を防ぐ堰止めとなります。
ブルーシートなどがあれば、外側全体を覆い、隙間を作らないようにするとより効果的とのことでした。
河川などが氾濫した時、溜まった水を川へ戻す「移動式排水ポンプ車」
東京都建設局の所有している「移動式排水ポンプ車」。水中ポンプや投光器、発動発電機など必要機材を備えおり、消防ポンプ車よりも多くの水を排水できる能力があるそうです。
要請に応じて目黒区へも出動してくれるとのこと。いざというときに頼もしい存在ですね。
甚大な被害を受けた時に機動力を発揮する「自衛隊」の展示ブース
東日本大震災や大型台風で甚大な被害を受けた場合、自治体だけでは対応できないことがあります。そんな時にお世話になるのが自衛隊。今回は「自衛隊五反田募集案内所」が出展していました。
災害救助で使われる工具類の他、避難用のボート、専用車両などを展示。高機動車やオフロードバイクなどは実際に乗車して記撮影もOK。お子様たちに大人気でした。
災害時に起きやすい電気関係の火災を防ぐ「東京電力パワーグリッド」
「東京電力パワーグリッド」では低圧電源車の展示と感震ブレーカーの展示。災害時に電気関係の火災を防ぐためのしくみなどを紹介していました。
災害時に必要な電力供給、帰宅困難者をサポート「トヨタモビリティ東京」
「トヨタモビリティ東京」では目黒区と連携。災害時の電力供給に必要な給電車両貸与協定と、帰宅困難者一時滞在施設としての協定を結んでいます。
帰宅困難者一時滞在施設は「目黒碑文谷店」「目黒本町店」「レクサス目黒」となっています。覚えておくといざというときに役立ちますよ!
災害用伝言ダイヤルを実際に使ってみよう「NTT東日本」
「NTT東日本」では災害用伝言ダイヤル171体験を実施。地震、噴火などの災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合に提供が開始される声の伝言板です。
災害用伝言ダイヤルは災害時には利用できますが、普段は利用できません。ということで、いざというときに慌てず利用できるようにする災害用連絡シミュレータも体験できるようになっていました。
災害対策は「自助」が基本ということで非常時の備蓄を紹介「東京葛飾福祉工場」
「東京葛飾福祉工場」では防災用品の企画・製造・販売を行っています。いざというときのために各ご家庭で備蓄しておくよい食品や携帯トイレ、防災グッズなどの実物をを展示。
日頃から内容を見直し、食品の場合は賞味期限を気にしながら何をどれだけ備蓄しておくか考えておくのも重要ですね。
雨量ってどのように計測しているの? 「気象庁・東京管区気象台」
「気象庁・東京管区気象台」のブースでは風水害に関する資料やパネル展示を実施。雨量を図る「転倒ます型雨量計」、中がどうなっているかを普段は見ることができません。
しかし今回は中の雨量計を実際に見ることができました。どのように雨量を計測しているかも詳しく教えていただき、大変興味深かったです。
災害時にガスが停まってしまったらどのように復旧させる? 「東京ガスネットワーク」
「東京ガスネットワーク」ではマイコンメーターの復旧体験を実施。地震などの災害で止まってしまったガスを復帰させる手順を学ぶことができました。
災害時に水道管が破裂しないように対策が進む「東京都水道局」
過去の大きな震災で水道管が破裂して水が使えなくなるということがよくありました。このため、「東京都水道局」では地震でも抜けない水道管を開発。
地震である程度揺れても抜けないように「遊び」を設けた水道管で、現在こちらのものに順次置き換え中とのことでした。
この他、背負える応急給水袋も合わせて紹介。3リットル、6リットルの水を入れて背負い、実際どのぐらいの重さになるのかを体験させていただきました。
各町内会で備えている小型の消防用ポンプによる排水体験
中二北町会・田道町会の展示ブースでは小型の消防用ポンプ排水体験を実施。ちなみにこちらは各町会に初期消火対策として配備されているものです。
普段はあまり目にしないものなので興味深いですね。
今回は見逃してしまったという方、マンション向けの防災セミナーが開催されます
防災対策は「自助」が基本ですが、同じ町内会や回りの人と助け合う「共助」という視点が大切。ということで、目黒区で活動する防災コミュニティ「チーム防災めぐろ」主催で、2023年6月25日(日)に中根住区センターレクリエーションホールで「マンション防災セミナー」が開催されます。
参加は無料で事前申込が必要。Zoomでのオンライン視聴も可能ですので、興味のある方はぜひ参加されてはいかがでしょうか。
私のように賃貸で普段町内会や自治会との設定がないという方。同じマンションで暮らす住民同士でいざというときにどのように行動できるか、そんな学びの良い機会となるのではないでしょうか。
災害は思いがけないタイミングで、予想を超えた被害をもたらす可能性があります。大切なのは1人ひとりが実践的に備えておくこと。
皆さんもぜひ、防災への意識向上に役立ってることができたらと思います。
■取材協力