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153キロ右腕の前ソフトバンク小林珠維、ひとまず「二刀流」は封印でオイシックス新潟入団

田尻耕太郎スポーツライター
オイシックス入団が決まり取材に応じた小林珠維

 今季限りでソフトバンクを自由契約となっていた小林珠維投手の新天地が決まった。イースタン・リーグを戦う「オイシックス新潟アルビレックスBC」に入団する。

 再起を目指し、11月14日に行われた12球団合同トライアウト(ZOZOマリン)には「投打二刀流」で受験していた。

投打二刀流で大暴れ

 参加全45選手の中で一番の輝きを見せたといっても過言ではなかった。

 投げては147キロの直球を投げ込み2者連続三振を奪い、バットでは右中間へライナーではじき返す二塁打を放つなど存分にアピールしていた。

ソフトバンク時代(2023年4月に撮影)
ソフトバンク時代(2023年4月に撮影)

 だが、そもそも“合格率”わずか数%という狭き門だ。そんな中でトライアウト後には清宮虎多朗投手(前楽天)が育成契約で日本ハムへ、中村亮太投手(前ソフトバンク)が育成契約でロッテへ、鈴木康平投手(前巨人)が育成契約でヤクルトへと、3名がNPB球団への移籍を果たしていた。

 小林も「トライアウトは手ごたえもあったし、周りの方からも『きっと大丈夫』とたくさん声をかけてもらいました」と言ったが、待っていたNPB球団からのオファーはなかった。それでもオイシックスからの誘いには「本当に感謝をしています」と晴れやかな表情で話した。

 ところで、二刀流プレーヤーとしてトライアウトに参加をしていたが、球団は「投手」として獲得したことを発表している。その経緯についても小林が明かした。

「トライアウト後にかなり早く連絡をいただけた球団の1つでした。最初『(投手と野手の)どっちで見てますか?』と訊ねると、『投手です』と。『でも、もし二刀流が希望であれば沿うことはできます』と付け加えてくれました。でも、僕も希望はピッチャー。どちらもやってNPBに戻れるほど甘くないのもわかっています。ただ、野手としても可能性を感じてくれたり、球団としても話題性があった方がいいという判断があれば、タイミングを見て野手の方もやるということはあるかもしれません」

 最速153キロの右腕は「直球が武器だけど、フォークをシンカー気味に落ちる軌道に改良した。奪三振数を増やしていきたい」と来季はチームの勝利に貢献することはもちろん、個人の数字でアピールすることを強く誓った。

「心苦しかった」ソフトバンク時代

「ソフトバンクでは二軍戦で投げる機会があまりなかったけど、オイシックスは二軍のイースタン・リーグでずっと戦うことができる。僕にとっては魅力ある球団です。また、ソフトバンクではたくさんのファンの方に応援していただいたのに、ほとんど三軍でプレーしているところしかお見せできず、僕としても心苦しかった。チームは変わるけど、もし応援してもらえるのなら嬉しいです。変わらず恩返しというか『ありがとう』『これからもよろしくお願いします』という思いをプレーでも表現したいです」

 無限の可能性を秘める23歳。新潟の地で、大きな力をつけるキッカケをつかみたいところだ。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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