NY金17日:ギリシャ情勢への警戒が根強く、反発
COMEX金6月限 前日比5.10ドル高
始値 1,198.60ドル
高値 1,207.80ドル
安値 1,197.00ドル
終値 1,203.00ドル
ギリシャ債務問題に対する警戒感が強く、週末を前にショートカバー(買い戻し)が先行した。
アジアタイム序盤は1,198~1,200ドルの比較的狭いレンジ内で揉み合う展開になったが、その後は欧州タイムを中心に買いが膨らみ、1,200ドル台を回復している。ニューヨークタイムは再び押し目買いと戻り売りが交錯する展開になったが、概ね1,202~1,206ドルのレンジを維持して引けている。
ギリシャ情勢に何か大きな動きが浮上した訳ではないが、来月にギリシャが10億ユーロ近い支払い期限を迎えるにもかかわらず、債務交渉が一向に進まないことが警戒されている。4月24日にはユーロ圏財務相会合の開催が控えているが、ギリシャ側からは支援受け入れのための改革案が提示されず、協議が進展しない状況が続いている。ギリシャ政府が国際通貨基金(IMF)に支援を求めたとの報道が流れるなど、デフォルト・イベントに対する警戒感も強く、ドイツ国債同様に金市場に対して退避需要が膨らんだ。欧米株の軟調地合、ドル安も支援材料に。ただ、ギリシャ債利回りの上昇幅はそれほど大きくなく、積極的に上値を試すような動きにまでは発展しなかった。
3月の米消費者物価指数(CPI)がコアベースで前年比+1.8%となり、前月の+1.7%から上振れしたことが、米早期利上げ観測につながったとの指摘もある。3月は広範囲の物価上昇が確認されており、ディスインフレを理由とした利上げ見送り論は後退せざるを得ない状況に。ただ、米長期金利が株安に反応して低下したこともあり、金相場に対する影響は限定的だった。
引き続き、ギリシャ債務問題については注意が必要。24日のユーロ圏財務相会合に向けて債務不安が強まれば、当然に金価格に対してはポジティブ材料になる。ギリシャ債利回りの急伸傾向が続いている間は、金価格に対しても瞬間的な上昇圧力が強まるリスクがある。ただ、それがFRBの金融政策正常化プロセスに影響を及ぼさないのであれば、一時的な戻り圧力の有無という視点に留まる。引き続き、利上げ着手の時期が近づいていることに対する警戒感は強い。本格的な下げには米長期金利の上昇、ドル高が必要不可欠であるが、ギリシャ債務問題に絡んだ戻り圧力がみられれば、売り場になるだろう。