夕食を一人で食べることがよくある高校生は2割強…子供達の夕食時での個食実情をさぐる
個食な夕食、小学生では1割程度
情操教育の上で考えると「個食」は可能ならば避けるべき状況と、世間一般からは認識されている。それでは子供達の間の個食状況はどのような状態なのだろうか。夕食時の実情について、国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書の内容から確認する。
次に示すのは直近の2016年度における、夕食時の個食事情。「夕食を一人で食べること」との設問に対し、それぞれ回答者の判断で「よくある」「時々ある」「あまり無い」「無い」から選んでもらっている。
小学生ではおおよそ1割が夕食における個食経験をしている。「よくある」の頻度は5%足らず。ところが中学生になると「よくある」「時々ある」まで含めて約3割となり、高校生では大体半数にまで増加する。
詳しい内情を見ると、「よくある」は高校生では約2割、「あまり無い」だが「無い」では無い、つまり稀な頻度でありうると読める人(少なくとも「無い」ではない人)も小学生から中学生、そして高校生では大きく増加している。高校生では「無い」と回答できた人は23.7%のみ。
学年が上になるほど個食率が高まる理由はいくつか考えられる。帰宅時間が遅くなることで、家族の他の構成員との時間調整が難しくなるのが最大の原因だが、他にも家族との時間の共有に関して気恥ずかしさを覚えるなどが挙げられる。また学費がかさむことから共働きにおける母親の帰宅時間が遅くなるため、子供は先に夕食を食べるように手配されているとの事例もあろう。
子供の個食状況は増加しているのか
この個食状況について、経年変化を見たのが次のグラフ。
2009年度に「無い」が減り「あまり無い」が増える動きが見受けられるが、それ以外はおおよそ横ばい。いくぶん個食率が高まっているようにも見えるが、まだこれでは誤差のレベル。ただし「あまり無い」が増え、その分「無い」が減っているのは気になるところ。
各学年別の動向の詳細は雑多となるのでグラフ化は略するが、数字的には中高生は「よくある」「無い」が減り、「時々ある」「あまり無い」が増加している。一方、小学生では2009年度を皮切りに増加する動きを示している。特に「時々ある」の回答率が伸びている。例えば小学5年生の動向は次の通りだが、じわりと夕食を一人で食べる人が増えている実情がうかがえる。
共働き率は増加の一途をたどっていることから、今後も個食率は増加への動きが予想される。次回調査分以降の動向に注目したいところだ。
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※青少年の体験活動等に関する実態調査
直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。
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