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案外役立つ「行政書士」~全国で無料相談会を開催

竹内豊行政書士
10月は行政書士広報月間。全国で無料相談も開催します。(写真:アフロ)

「行政書士です」と言うと、たいてい「何をする人ですか?」と質問を受けます。

そこで、日本行政書士会連合会と各都道府県の行政書士会は、毎年10月を「行政書士制度広報月間」として、行政書士制度の普及を目的として全国一斉に広報活動を行っています。

全国各地で「無料相談会」も実施しますので、日常生活のお困りごとなどこの機会に相談してみてはいかがでしょうか。これがきっかけで悩みが解消するかもしれません。

では、私も行政書士の一員として、行政書士についてご紹介したいと思います。

行政書士とは

行政書士とは、行政書士法に基づいて活動する法律系の国家資格者です。次の3つのいずれかの条件を満たして日本行政書士会連合会(通称「日行連」)に登録すれば行政書士として活動できます。

条件1.行政書士試験に合格する

 

試験は年に1回毎年11月に実施されます。年齢・学歴・国籍等に関係なく受験できます。平成29年度の試験結果は次のとおりです。

 受験者数40,449人、合格者数6,360人(合格率15.7%)

  最年長は75歳、最年少は18歳の方が合格しています。

なお、試験について詳しくは、一般社団法人行政書士試験研究センターのホームページをご覧ください。

条件2.公務員として20年以上の行政事務を担当した人

条件3.弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する人

行政書士のほとんどが、条件1の試験合格者です。

全国に何人いるか

行政書士は全国に46915名(法人会員数595)約4万7000人います(平成30年4月1日現在)。ちなみに、税理士は約7万7000人、弁護士は約3万8000人、司法書士は約2万2000人います。

行政書士が提供する法務サービス

行政書士は、主に次の2つの書類に関する相談・作成及び官公署等への提出代理を行っています。

1.行政手続書類~官公署に提出する書類

2.民事書類~権利義務または事実証明に関する書類

 

いずれも業務範囲が広いです。「業務範囲が広いこと」が良くも悪くも行政書士の特徴と言えます。

ただし、他の士業の法律(弁護士法、司法書士法、税理士法、社会保険労務士法等)で制限されている業務はできません。たとえば、行政手続書類業務では、税務申告は税理士、法人や不動産の登記は司法書士の独占業務のため関与できません。また、民事書類業務では、裁判につながる紛争案件は弁護士の独占業務のため関与できません。

行政書士が行っている業務

次に行政書士が市民に提供している代表的な業務を紹介します。

1.行政手続書類業務

新規事業を行いたい中小企業や個人事業主に、おもに次の許可取得のための法務サービスを提供しています。

 ・建設業許可申請

~一定以上の規模の建設業の営業を行うための都道府県庁または国土交通省への許可申請

 ・風俗営業許可申請

~スナックやバーの営業を行うための警察(公安委員会)への許可申請

 ・運送業許可申請

~旅客や貨物の運送業の営業を行うための陸運局への許可申請

 ・入国管理業務

~外国人が日本に滞在して就労活動を行うための在留資格や日本人と結婚した外国人が日本で在留するための入国管理への在留許可申請

2.民事書類業務

相続に関する業務が大半を占めています。具体的には次のような業務があります。

 ・遺言作成業務

~遺言書を作成したい方への文案の作成

 ・相続手続業務

~お亡くなりになった方の遺産の引継ぎに関する書類作成や金融機関の払戻し等の手続き代理

 その他、契約書や内容証明の作成なども行っています。

「人生100年」を行政書士で輝かせる

実は、行政書士は試験の難易度と比べて、業務範囲が広範で法(行政書士法)で与えられている権限が強い資格です。一言で「お得な資格」と言えます。

そのため、最近は定年後に自分の経験を活かす仕事を行うためや、「行政書士という国家資格の信用」を活用して、「自分のやりたいこと」を仕事にするために行政書士試験にチャレンジする中高年の方が増えています。

行政書士に悩み事を相談するだけでなく、人生100年の第2幕を行政書士で輝かせてみるのも悪くないと思います。

「やってみようかな」と思った方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

今から準備すれば一発合格も夢ではありません!

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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