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『24 JAPAN』でバウアーの娘に当たる役を演じる桜田ひより。日本版でも名物キャラクターとなる予感

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(c)河野英喜/HUSTLE PRESS

世界的な大ヒットとなったアメリカ製ドラマ『24-TWENTY FOUR-』をリメイクした『24 JAPAN』(テレビ朝日系)がスタートした。1話がリアルタイムの1時間分のストーリーで、24話で激動の1日を追うスタイルはそのまま、テロとの戦いを描いていく。オリジナルのジャック・バウアーに当たる主人公を務めるのは唐沢寿明。そして、娘のキムに当たる役を演じているのが桜田ひよりだ。現在17歳で演技力を子役時代から高く評価されている彼女が、名物キャラクターを日本版でどう見せていくか注目される。

オリジナル版のキムと同じく誘拐されて

 『24-TWENTY FOUR-』は2001年から放送スタート。『24 JAPAN』はその「シーズン1」のリメイクとなる。オリジナルではアメリカ合衆国で初めての黒人大統領候補の暗殺計画を巡るストーリーだったが、ターゲットが日本初の女性総理候補に翻案された。

(c)2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
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 主人公のジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)はCTU(テロ対策ユニット)の捜査官。日本版でも同じCTUという組織の班長・獅堂現馬(唐沢)の他、オリジナルの主要キャラクターに当たる人物たちがほぼ登場。女性総理候補の朝倉麗は仲間由紀恵が演じている。

 1話では朝倉の暗殺計画の情報がCPUにもたらされ、深夜に緊急招集が掛かる一方、現馬の娘・美有(桜田)がこっそり家を抜け出した。友だちに誘われ、男子大学生との夜遊びに出向き、オリジナルのバウアーの娘、キム(エリシャ・カスパート)と同様に、誘拐されることになる。美有は父親の現馬は慕っていて、2人でポーカーを楽しんでいたが、母親の六花(木村多江)とは折り合いが悪く、「あの人」呼ばわりしている。奔放で強気なキャラクターは、桜田によれば「キムとまったく一緒」とのことだ。

子役時代から視聴者も共演者も魅了する演技派

 桜田は小学3年生の頃から、子役として映画やドラマに出演。特に注目されたのは、2014年のドラマ『明日、ママがいない』。芦田愛菜が主演し、児童養護施設を舞台に話題を呼んだ作品で、ピアノが得意なピア美という役だった。お嬢様育ちだったが父親の会社が倒産して施設に預けられ、「顔だけなら誰にも負けないのに」が口癖。ピアノコンクールをこっそり観にきていた父親に向かって、ステージから「パパ、行かないで!」と号泣しながら叫ぶシーンが胸を打った。

 その後、EXILE TRIBEのメンバーが主要キャストを固めたドラマ『ワイルド・ヒーローズ』で中1にしてヒロインの記憶喪失の少女を演じたり、麻雀マンガが原作でドラマから映画と展開した『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』で初主演したりと、数々の作品で順調にキャリアを重ねてきた。

 2018年に公開された『新参者』シリーズの映画『祈りの幕が下りる時』では、松嶋菜々子が演じた舞台演出家の少女時代の役。父親と離れ離れになるシーンを、舞台あいさつで松嶋や阿部寛らに「とても引き込まれました。感受性がすごい」「泣いてるシーンが天才的。あの少女は素晴らしいと話してました」などと絶賛された。

 今年も主演したスペシャルドラマ『ラーメン大好き小泉さん 二代目!』が放送され、『映像研には手を出すな!』『鬼ガール!!』など出演映画の公開が相次ぐ。現在は『24 JAPAN』の他に、関西ジャニーズJr.のなにわ男子の主演ドラマ『メンズ校』(テレビ東京系)でヒロインを演じている。反抗期の役や恋愛モノ、コメディなど幅広い役柄をリアルに演じて引きつける、17歳の実力派だ。

(c)河野英喜/HUSTLE PRESS
(c)河野英喜/HUSTLE PRESS

手足を縛られたりするのは慣れました(笑)

 2002年生まれの桜田は『24 JAPAN』出演が決まるまで、オリジナル版は観たことがなく、芸人のどきどきキャンプのモノマネで「銃を使うアクションものなんだろうな」というイメージしかなかったという。

「実際に観てみたら、想像していたより、ずっと迫力がありました。銃撃戦とか車の爆破シーンがあって『これを日本でやるんだ!』と思いながら、シーズン2まで一気に、のめり込む勢いで観ました」

(c)2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
(c)2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 美有を演じるに当たり、キムの動きや表情も研究。「強気で正義感が強くて、思ったことをバンバン言うところを中心に役を組み立てて、強い口調で話しています」という。

 そしてキムと同じく、誘拐されて監禁されたり、いろいろな目に遭うらしい。

「縛られたり、押し込められたり、突き飛ばされたり(笑)。手足を縄で縛られたり、口をガムテープでふさがれるのはもう慣れて、体より精神的にキツイです。目の前で人が殺されたりする役なので、入り込みすぎると他の仕事に影響が出てしまうから、無理にでも切り替えるようにしています」

「イライラするけど憎めない役」に独自の味も

 一方、キムはバウアーの指示を守らずに不用意に動いて状況を悪化させたりと、要らないことばかりするトラブルメーカーでもあった。

(c)2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
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「美有もそうなんです。要らないことをずーっとしています(笑)。『絶対に動かないほうがいい』というときに動き回ったり、余計な人を連れてきちゃったり。観ていてイライラすると思います(笑)。でも、美有もキムちゃんも心の底から憎めないキャラクターで、何か好きです」

 キムもまさにイラつくけど憎めないキャラクターとして、『24』シリーズに欠かせない存在となった。桜田は「リメイク版なので、日本でしか出せない雰囲気も出せたらいいなと思っています」ともコメントしている。これまで様々な役に独自の色を付けてきた彼女が、『24 JAPAN』の美有をどんな存在にしていくか、スリリングな展開と共に目が離せない。

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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