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中国は1日で914万バレルの石油が不足の計算…日米中の石油事情(2022年時点)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
日本は石油がほとんど取れないので消費量の大半を輸入に頼っている(写真:イメージマート)

化石エネルギーとしては石炭や天然ガスとともに注目を集め、多方面で用いられている石油。日米中における生産量や消費量などの実情を、アメリカ合衆国のエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)による提供値を基に確認する。

まずは日米中3か国の石油生産量の推移。

↑ 日米中石油生産量(万バレル/日)
↑ 日米中石油生産量(万バレル/日)

日本の石油産出量がごくわずかで、米中と比べるとほぼゼロに等しい。他方中国は漸増の動きを示しているが、これは技術革新や油田の開発などによるもの。急激な経済の伸張に伴い、必要なエネルギーもうなぎのぼりとなり、生産の増大が求められた結果による。

他方アメリカ合衆国ではほぼ横ばいの動きだったが、2009年以降急激な増加を示している。これは北米におけるシェール革命によるもの。元々存在は確認されていたが、採算性の問題からほとんど手付かずだったシェールガス・オイルに関して、画期的な採掘法(水圧破砕法)が開発され、一気に商業ベースに乗ったのが原因。カナダも同様の急激な生産量の拡大を示しており、北米ではゴールドラッシュならぬオイルラッシュ状態にある。

続いて各国毎に、石油生産量、石油消費量、そしてその差異を算出したものを一枚のグラフに収める。石油消費量の中身はガソリンだけでなく灯油をはじめ各種生成物にわたるため、それらをまとめて比較するのは無理があるが、指標的なものとしては十分に役に立つ。要は国内で石油関連のエネルギーに関して検証を行う際に、どれだけ自前でまかなえるかの指標である。実際には当然、精製の際の施設なども必要になるため、精製力も勘案しなければならないが、今件では除外する。なお消費量は2019年分の値が最新のため、グラフの範囲や直近年の計算も2019年が最新値となる。

↑ アメリカ合衆国の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)
↑ アメリカ合衆国の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)

↑ 中国の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)
↑ 中国の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)

↑ 日本の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)
↑ 日本の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)

↑ 日米中の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)(2019年)
↑ 日米中の石油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(万バレル/日)(2019年)

まずはアメリカ合衆国だが、2008年位までは漸増していた消費量もそれ以降は漸減の方向に。そして2013年からは再び増加への動き。他方、生産量は2008年以降急激に増加。当然の結果として過不足量はマイナス幅を縮小しつつある。単純な量比較でもまだ不足していることに違いはないが、石油産出国への傾注は随分と減ったに違いない。

中国では消費量が加速度的に伸びる一方で、生産量の増加が追い付かない状態。当然、不足分はますます大きくなる。アメリカ合衆国とは逆の状況にある。消費量を減らすような施策は国内から反発を受けてしまう。足りなければ他国から輸入するか、奪うしか無い。同国がエネルギー関連で強引な政策を繰り広げる事案が増えてきたのも、このグラフから透けて見えてくる。

日本は国内生産が絶望的である以上、消費量はほぼそのまま不足分となる。輸入ルートの確保、石油産出国との良好な関係の維持が日本にとって欠かせない重要事項であることは、昔も今も変わらない。もっともエネルギー構造の変化により、消費量は前世紀末をピークに漸減する傾向にあり、結果として不足分も減っている。

足りない石油は原則輸入するしかなく、石油の種類区分を別にすれば、ほぼ不足分の動きと輸入量が連動している。日本が石油などを輸入に頼っていることは周知の事実だが、上記の通り米中では大きな変化を見せ始めている。国単位のエネルギーに係わるそろばん勘定は、その国の外交政略にも大きな影響を及ぼす。その観点でも、今後の動向を注意深く見守りたいところだ。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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