食事をしながらのテレビや新聞・雑誌利用の実情を年齢階層別に確認する(2024年公開版)
食事をとる際の「ながら行動」は行儀が悪いとの指摘は少なくないが、一方で新聞を読んだりテレビを見ながらの食事のスタイルは多くの人が当たり前のように行っているのも事実。今回は総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用い、食事時の「ながら行動」としてよく知られている、テレビ視聴と新聞や雑誌の閲読の関係の実情を、年齢階層別で確認する。
次に示すのは食事(朝食・昼食・夕食を問わず)の際に、挙げられている行動を「ながら行動」(同時行動)としてしている人の割合。例えば50代後半の男性は10.4%と出ているので、50代後半の男性で食事をする人のうち1割強は、新聞や雑誌を読みながら食事をしている計算になる。
元々新聞や雑誌を読まない人は食事中に読むこともないため、新聞や雑誌の閲読傾向とも浅からぬ関係が生じることになる。未成年では少なくとも公開値の限りでは男女ともにゼロ。20代でも女性は1%未満、男性も2%前後。30代に入ると女性が大きく伸びるが、40代以上は男性の方が高い値となる場合が多い。60代以上は男性では7%台を維持する。食事をしながら新聞を読むイメージは、多分に中年層以上の男性にあるのだが、実際には男女に関する法則性のたぐいは見当たらない。むしろ女性のばらつき度合いが気になるところ。
同じ食事時の「ながら行動」の対象としては、新聞よりもむしろ多くの人が行っているであろうテレビ(の視聴)はどうだろうか。
保護者などから行儀作法の点で指図を受けている可能性がある15~19歳では1割前後、20代は男性で1割前後、女性では1~2割台。新聞や雑誌の閲読と比べればはるかに高い値だが、中年層以上と比べて値が低めにとどまっているのは、代わりにスマートフォンなどを操作しているからかもしれない。しかし、年齢階層別の食事時の同時行動に関しては、スマートフォンの操作も含まれる「コンピューターの使用」は該当データが存在しない。また、テレビそのものを普段から視聴しているか否かも少なからず関係しているのだろう。
男性は40代後半、女性は20代後半から(一部でイレギュラーな凹みがあるものの)、大きく値を伸ばしていく。男女ともに60代前半がピークで、4割を超える。大ざっぱに表現すると、男女ともに50代以上は大体3割以上の人が食事をする際にテレビを見ている計算になる。厳密に3割以上とするのならば、50代後半から70代前半まで。
食事の際の「ながら行動」は行儀が悪いだけでなく、注力が分散するために料理をこぼしたり消化が悪くなるとの指摘もある。一方でテレビ視聴の実情を見れば分かる通り、今や日常生活の上で浸透した様式となったものもある。どのように対処するかは個々の認識に任せるしかあるまい。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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