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パリ五輪の観客席で中国人と台湾人が場外対決?

宮崎紀秀ジャーナリスト
バドミントン男子ダブルス、台湾の李・王ペア(2024年8月1日パリ)(写真:ロイター/アフロ)

 パリオリンピックの競技会場で2日、台湾人のサポーターが掲げた応援用のポスターを中国人と見られる男が力ずくで奪う騒ぎが起きた。

被害を受けた女性は...

 騒ぎがあったのは、台湾ペアも出場したバドミントン男子ダブルスの競技会場。

 台湾メディアによれば、観客席で台湾人の女性が「台湾頑張れ」と書いたポスターを掲げて応援していたところ、会場スタッフでもない中国人とみられる男が、力ずくでそのポスターを奪い去ったという。

 新聞「自由時報」によれば、台湾人女性はフランスに留学中の学生。女性が同紙に語ったところによれば、「台湾、頑張れ」と声を出していたところ、男に「中華チーム」や「台北チーム」と呼べ、などと言いがかりをつけられた上、力ずくでポスターを奪われたという。

 男がその後そのまま立ち去ったのか、或いは会場スタッフに連れ去られたのかどうかについては分からないという。

 女性は、「悲しくて辛いことは辛いけど、競技会場で台湾にこのようなことが起きることを世界が目の当たりにし、知ってもらえた」と話している。

国旗を掲げたわけでもないのに...

 台湾チームは国としてではなく、中華オリンピック委員会の資格で競技に参加しているため、台湾が国旗として使う、赤地と青の背景に白い太陽を組み合わせた意匠の旗(青天白日満地紅旗)の持ち込みは禁じられている。表彰や応援では、代わりに白地に梅の花のようなデザインが施された同委員会の旗が使われる。チームの名称は中華台北、英語でチャイニーズタイペイが用いられる。

 台湾メディアが掲載した写真では、女性が掲げていたのは、緑色の台湾島をかたどった地に、漢字で「台湾頑張れ」と書いてあるだけ。台湾の旗や中華オリンピック委員会の旗が記されているわけでもない。

 女性は「ポスターや国旗の問題ではなく、攻撃的な行為の問題。大会側には適切に処理をしてもらいたい」と話している。

 ちなみバドミントン男子ダブルスの台湾ペアは、この日の対戦でデンマークペアを下し、決勝進出を決めた。1次リーグでは中国ペアを破っている。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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