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嘘つきジョージ・サントス議員 米下院が除名処分に #経歴詐称 #専門家のまとめ

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
ジョージ・サントス氏。(写真:ロイター/アフロ)

共和党のジョージ・サントス下院議員(35)は、南米出身の移民の両親の下、ニューヨークの地下アパートで育ったとする困難な生い立ちをアピールしてきた。それだけではない。彼のアメリカン・ドリームを体現した「物語(作り話)」は続くーー。

有名私立大に進学後、誰もが知る大企業2社に就職し、政治家に上り詰めるという、エリート街道まっしぐらの人生を歩んできたと流布していた。

自身は、ユダヤ系およびウクライナ系で、同性愛者で、母親は2001年当時に世界貿易センターで働いていたがその後病気で亡くなったとし、人々から共感を得たり同情を買うことにも優れていた。ニューヨーク郊外に住む主に労働者階級や移民、LGBTQの有権者から支持を集めた人物だった。

しかしそのほとんどが「嘘」だった。

嘘がバレたのは昨年暮れのこと。メディアによって学歴詐称と経歴詐称が判明し、数々の虚言が暴かれた。その後の調べでも、選挙資金を高級ブランドや美容、借金の返済など私的に流用していることが判明。コロナ禍の失業給付金を不正受給し、寄付者のクレジットカードに許可なく繰り返しチャージして自身の口座や選挙活動に使うなどやりたい放題。詐欺、窃盗、虚偽の報告、選挙資金流用などで刑事訴追されている。

一方サントス氏は堂々とメディアの前に現れ、「私は犯罪者ではない」「自分の無実のために闘い続ける」と開き直り、辞職を拒否していた。

しかしいよいよ今月1日、米下院はサントス議員の除名処分を決定した(311対114で可決。民主党議員の大半に加え、共和党議員も105人が賛成票を入れた)。

▼除名された下院議員は米国史上6人目。下院で多数派の共和党は1議席減で民主党との差が8議席となり法案の可決がさらに困難に

▼5月に詐欺罪など13の罪で逮捕、起訴された。罪状認否後に保釈金50万ドル(当時6700万円相当)で保釈されている

▼サントス氏の経歴詐称を昨年暴いたのはニューヨークタイムズ。どのように嘘がバレたのか経緯を解説

▼投票で除名処分となった1日、さっそくサントス氏のオフィスの鍵が職員によって交換された

これまで有罪判決なしに除名された議員はおらず、サントス氏が初のケースとなった。同氏の議員としてのこれまでの給料は17万4000ドル(約2550万円)だったが、除名処分となったため今後は受け取れなくなる。ペンション(年金)も受け取れないだろうと報じられている。

サントス氏の罪は増え続けており、ニューヨークタイムズによると現在「23もの重罪」で起訴されている。本決議前に「運命を受け入れた」「神の意志に従う」とメディアに語った同氏。自身の罪に今後どう向き合っていくのだろうか。

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ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、著名ミュージシャンのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をニューヨークに移す。出版社のシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材し、日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。

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