錦織圭直伝! 世界ジュニアトップ100入りをした木下晴結は、ローランギャロス(全仏テニス)予選に挑む
「伊達公子×ヨネックスプロジェクト~Go for the GRAND SLAM~」の2期生の第4回ジュニアキャンプ(4月18~22日、沖縄・豊崎海浜公園テニスコート)で、錦織圭が飛び入り参加したことは、15歳の木下晴結にとって、貴重な体験になった。
「めちゃくちゃ緊張しました。でも、一瞬だったけど、楽しかったです。(錦織が)軽く打ってるだけなのに、グッと来るボールで、ああいうボールがないと、トップのレベルで戦っていけないんだなと実感しました」
錦織との約3分間のラリーは、木下にとって、かけがえのない経験になったのは間違いない。ラリーの動画は、伊達公子さんの公式インスタグラムにもアップされたが、なかなかクオリティの高い打ち合いだった。
また、錦織は、リターンポジションからスピリットステップを踏んで斜め前にステップインすることを、ジュニアたちに伝授した。ワールドツアー屈指のリターン名手である錦織がアドバイスしたわけだから、説得力は段違い。アドバイスを聞いた木下もそれを実感した。
「(錦織が)本当にあのレベル(世界レベル)で戦っているんで、説得力がすごかったです。錦織選手が言うなら、本当にそうなんだろうなって思います。私は、(リターンが)得意でもないですし、苦手とも思っていないので、普通です。錦織選手の動画を見て頑張ります」
キャンプの最後には、錦織からジュニア選手全員にサイン入りのテニスボールがプレゼントされたが、木下のテニスボールには、ひらがなで“はゆちゃんへ”と書かれていた。
ジュニア ビリー ジーン・キングカップ初出場! そして、ローランギャロス(全仏テニス)のジュニアの部初挑戦へ
木下は、4月上旬に、女子ジュニアの国別対抗戦であるジュニア ビリー ジーン・キングカップ(16歳以下)のアジア/オセアニア予選に初参加した。日本チームは、3位という成績で終え、世界大会への出場権を手にした。
「独特の緊張感があって、チーム戦ということもありますし。緊張し過ぎて、本来の自分のプレーを100%出せたかと言われると、そうじゃなかったですね。でも、楽しめたのは楽しめたので。ただ、優勝を目指していたので、悔しさは残りましたけど、世界大会につなげられたので、また頑張っていきたいと思います」
こう振り返った木下は、齋藤咲良、クロスリー真優と共に戦ったが、かつてない緊張感の中で、日本代表の大役を果たした。
「初めての団体戦というもありましたし、日の丸がここ(ウェアの左胸)にあるし。自分の勝ち負けが、チームの1勝に関わってくるから、そういう面で、緊張感を持ち過ぎたかな。でも、本当にいい経験になりました」
現在、木下のITFジュニアランキングは71位(5月2日づけ)だが、世界のトップ100入りした実感は特に無いという。今後の戦いの舞台は、世界のトップジュニアレベルになっていく。5月下旬には、グランドスラム第2戦・ローランギャロス(全仏テニス)のジュニアの部の予選に挑む予定だ。
「感覚は、(2022年1月の)オーストラリア遠征から良くなってきている。でも、全豪では、ヨーロッパのプレーヤーが来れてなかったりしていたんで、ヨーロッパの全仏に行った時に、自分の実力が今どれだけかというのが、明確にわかって、もっと頑張らなきゃなって、たぶん思うんだろうと思います。とりあえず、自分のベストを尽くしたいです」
ローランギャロスでは、レッドクレー(赤土)コートでの試合となるが、木下は、十代前半の時に、富士薬品のワールドチャレンジプログラムでヨーロッパ遠征をした時に、レッドクレーの試合を経験済みだという。
「ハードが一番得意なのは間違いないですけど、クレーは嫌いではないです。やっぱりイレギュラーがあるので、それに苦しめられた記憶はありますね。あまり日本では無いことですし」
新型コロナウィルスのパンデミックが続いている中で、少ないチャンスをモノにして、グランドスラムのジュニアの部へ挑戦できるポジションにまで駆け上がった木下が、ヨーロッパ遠征でどんな戦いを見せるか楽しみだ。
2期生のジュニアキャンプは、早くも4回を終えて、2期生としての活動は残り約1年となる。ここ1年で、木下のグランドストローク力は、着実に進化しており、奥田裕介コーチと厳しい練習を乗り越えてきたことがうかがえる。そして、グランドスラムやツアーで実績のある伊達さんから、特にメンタル面をもっと学びたいと木下はまだまだ貪欲だ。
「メンタル面では、伊達さんがすごいなって感じますね。努力は嘘をつかない、とか、いろいろなグッとくる言葉はたくさんあるので、そういうセルフトークというか、メンタル面でもっと吸収していきたいなと思います」
こう語る木下は、新しい経験一つひとつが、そのまま成長につながっているかのように、一歩一歩着実にテニスの実力をつけ、進歩し続けている。