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山口俊が日本復帰。これまでシーズン途中に日本へ戻った投手たちは、どんな成績を残したのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
山口俊 Feb 23, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーリーグ2年目を迎えることは、できなかった。山口俊は、インスタグラムにこう書き込んだ。「この度、山口俊は日本に帰国することを決断しました。夢を追ってメジャーに挑戦しましたが、力及ばずシーズン途中での帰国となります。(中略)明日からは心機一転、新たなチームとのご縁を探し、期待して下さっていたファンの皆さんに頼もしい姿を見せれるように精進いたします。」

 山口は、2月にトロント・ブルージェイズから解雇され、サンフランシスコ・ジャイアンツとマイナーリーグ契約を交わした。5月にAAAで開幕を迎え、5登板で0勝3敗、防御率6.17。計23.1イニングを投げ、25三振を奪って14四球を与えた。

 これから山口が契約する球団として、真っ先に思い浮かぶのは、メジャーリーグへ行く前に在籍していた読売ジャイアンツだろう。その場合は、ジャイアンツからジャイアンツ、となる。ただ、前に「日本人メジャーリーガーのNPB復帰。彼らは元の球団に戻るのか、それとも違う球団へ!? 牧田和久は後者」で書いたように、必ずしもそうなるとは限らない。

 また、同じシーズンにマイナーリーグと日本プロ野球の両方で投げた日本人投手は、ほとんどいない。調べたところ、2000年の木田優夫と2014年の建山義紀しか見つからなかった。

 前年にメジャーデビューした木田は、この年、6月にデトロイト・タイガースを退団するまでに、AAAで21試合に登板し、計25.0イニングで防御率2.16を記録した。5月には、メジャーリーグでも2試合に投げている。最初の登板は2.0イニングを無失点に抑えたが、次の登板は0.2イニングで3失点。アレックス・ラミレスに二塁打を打たれた直後、3ラン本塁打を喫した。ちなみに、この2試合のタイガースの先発投手は、野茂英雄と後に福岡ソフトバンク・ホークスで投げるクリストファー・ニコースキーだった。タイガースの前に在籍していたオリックス・ブルーウェーブへ戻った木田は、リリーフとして24試合に投げ、計41.1イニングで防御率5.66に終わった。

 一方、建山は、2011~12年にテキサス・レンジャーズでメジャーリーグの53試合に登板後、2013年はレンジャーズとニューヨーク・ヤンキースのAAAで過ごした。2014年も昇格できず、ヤンキースのAAAで9試合に投げ、計13.1イニングで自責点9、防御率6.08を記録した。5月に退団し、翌月、それまで在籍したことのなかった阪神タイガースへ入団。7月下旬から、8試合で計7.1イニングを投げた。7月の2登板は計3失点、8月の6登板は無失点。このシーズンを最後に、建山は選手生活にピリオドを打った。

 他には、2009年の福盛和男も、シーズン途中にメジャーリーグの球団を去り、日本プロ野球で投げている。木田や山口と同じく、メジャーデビューは前年。この年は故障者リストに入っていて、メジャーリーグでもマイナーリーグでも投げていないが、6月に東北楽天ゴールデンイーグルスへ復帰すると、35登板の計45.1イニングで防御率2.18。10セーブと4ホールドを記録した。

 なお、シーズン途中ではないが、日本へ戻ってきた先発投手たちについては、こちらで書いた。

田中将大の前に、メジャーリーグから日本プロ野球へ戻った先発投手たちの「復帰1年目」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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