千葉の竜巻被害 出なかった竜巻注意情報
6日夜、千葉市中央区で竜巻により、複数の住宅の屋根瓦が吹き飛ぶなど被害が発生。その時点で、千葉県内に竜巻注意情報は出ていませんでした。
突風を精度良くとらえるのは難しい
まず確認しておきたいのは、竜巻などの突風を事前にとらえて、確度の高い予測情報を出すというのは簡単ではないということです。
日本で起こる竜巻の多くは、幅が数十~百数十メートルで、寿命が数分など、規模が小さく、アメリカなどで起こる竜巻と比べると、あっという間に現れ、消えます。
今のレーダーなどの観測網で、過不足なく竜巻注意情報を出すのは、難しいというのが現状です。
活かせなかった目撃情報
情報の精度を少しでも上げようと、気象庁は昨年から、竜巻の目撃情報の活用を始めています。気象庁職員が目撃した場合に加え、事前調整のついている警察など公的機関に通報があった場合も気象庁へ伝えられ、その際に「目撃情報あり」と付加した竜巻注意情報を発表します。
過去の事例では、竜巻が起こると、6時間以内に近隣で別の竜巻が起こることが約3割あり、さらなる突風に備えるための情報です。今夏は全国各地で、「目撃情報あり」の竜巻注意情報が発表されました。
ところが、今回の千葉市の突風では、すぐネット上に多くの被害画像がアップされ、警察や消防に多数の通報があった状況にも関わらず、気象台から「目撃情報あり」の竜巻注意情報は発表されませんでした。
千葉市の竜巻後、千葉県の別の地域でも突風被害が出ています。こういった場合の目撃情報を、確実に注意情報に活かしたいところです。
一部の人が見た「竜巻らしきもの」をどう扱う?
一方、4日(金)午後は、東京都に「目撃情報あり」の竜巻注意情報が発表されました。この際は、世田谷区の警察に、「竜巻らしきものを見た」という通報があり、それが気象庁へ伝えられたそうです。
ただ、突風被害は確認されていません。気象庁では、この通報が何人の方から警察に届いたのかは把握していないとのことですが、23区内で起こったにも関わらずネット上で大きな話題になっていないということは、現象が小規模、もしくは竜巻以外のもので、目撃者は多くなかったということでしょう。
一部の人が「竜巻らしきものを見た」と警察などに通報した場合、どう対応していくのか。無駄な空振りを増やさず、情報の精度を上げるために、まだ改善の余地がありそうです。