【印西市】夏休みの自由研究にも! 日本の医療機器の歴史が学べる「印旛医科器械歴史資料館」
北総線の印旛日本医大駅からすぐのところに、印西市立「印旛医科器械歴史資料館」があるのをご存じでしょうか?
こちらの建物はもともとは消防署でした。
1973年の日本医科器械学会第50回大会の時に、広く皆さんに歴史と価値のある医科器械を見てもらってはどうか? ということで展示会が開催され、のちにそれらを保存するために埼玉県春日部市の医療機器メーカーの工場の一部を利用して展示・保存されていました。
その後、2007年に当時の印旛村(現・印西市)がこの資料館を誘致し、現在の場所に移転してきました。多くの収蔵品を置くには広いスペースが必要だったため、消防署の建物がちょうどよかったのだとか。
館内には約10の展示室があり、大きなものから小さなものまで多くの収蔵品が展示されています。
古いものは江戸時代のものから展示されています。
江戸時代に世界で初めて全身麻酔による乳がん摘出手術を行ったのは「華岡青洲」という日本の医師でした。
それまでは、患者に焼酎を飲ませて酔わせ、眠ったところで外科手術を行っていたそうです。酔いが覚めた時にまだ手術中だったら一体どうなっていたのでしょうかね。
その「華岡青洲」の外科手術器具(レプリカ)が展示されています。
こちらは江戸時代の殿様用の救急箱(本物)です。当時のものが残っているのがすごいですね。そして殿様用ということもあり立派な救急箱です。
大正時代の聴診器です。現代のものとだいぶ形が違いますね。象牙製のものもあったのですね。
額帯反射鏡。お医者さんと言えば、これをつけているイメージですよね。
ギョギョッ!! これは何!? こちらは眼科手術訓練器だそうです。
大正末期のレントゲン透視台。昔は木製だったのですね。
これは昭和初期の早産児保育器です。下に炭を入れて炭火で赤ちゃんを温めていたのだそうです。温度調節が難しそうですね。
こちらは昭和7年頃の未熟児保育器です。こちらは下に水を入れて電気ヒーターで温める仕様のものでした。
一見、食器棚か何かの家具のようにも見えるこちらは電気治療器です。左のシンバルみたいなところから静電気を発生させて患者に通電させて治療する機器です。
当時は非常にアナログな造りだったのですね。
戦時中の野戦用蒸気消毒車もありました。陸軍の野戦病院用として製造され薪を熱源にしていました。
胃カメラを世界で最初に開発したのは日本だということをご存じでしたか?
光学機器・電子機器メーカーのオリンパスが日本で最初に胃カメラを開発しました。
下の木箱のものは胃カメラが開発される前の胃鏡です。これを口から入れるのは痛そうですね。
胃鏡→ 胃カメラ→ ファイバースコープと時代と共に移り変わっていますが、今でもファイバースコープの事は胃カメラと呼ばれることが多いですね。
こちらは何だと思いますか? コロナ禍によく耳にしたかと思いますが、血中酸素飽和度を測定する機器のオキシメーターです。
現代のパルスオキシメーターは手のひらにも乗るサイズで、そして測るのは手の指先ですが、昔は耳たぶで測っており、当時は持ち運びもできませんでした。
ここまでご紹介したのは、千点を超える収蔵品のほんの一部です。
今回、収蔵品のご説明をしてくれたのは、こちらの日本医科器械資料保存協会の監事で資料館業務主任者の山沢さん。
「印旛医科器械歴史資料館」は通常の開館日は説明員の方はいませんが、山沢さんは毎月第一月曜日にに駐在されていますので、その日に来館すると希望者には山沢さんが館内の収蔵品の説明をしてくれます。
ちなみに、山沢さんのお話では「印旛医科器械歴史資料館」で収蔵している医療機器を、NHKの大河ドラマ「いだてん」(2018年~2019年放送)や、現在上映中の映画「銀河鉄道の父」に貸し出しもしたのだそうですよ。
なかなか普段お目にかかれない貴重な昔の医療機器が見られる「印旛医科器械歴史資料館」を一度訪れてみてはいかがでしょうか?
通常の開館日は、月曜・水曜・金曜日ですが、2023年7月・8月は土曜日も開館されるようです。
夏休みの自由研究にもいいかもしれません。
印西市立「印旛医科器械歴史資料館」
- 住所:千葉県印西市舞姫1-1-1
- 電話:0476-98-1390
- 開館日:月曜日・水曜日・金曜日(祝・祭日・年末年始は休館)
- 開館時間:10:00~16:00
- 入館料:無料
- ホームページ
※2023年7月・8月は土曜日も開館します